魂魄の眠りに加護を
(大学院)日本画分野 長野 佐知子 (長野 佐知子)
90cm×224cm
雲肌麻紙
岩絵の具
人はその生のはじまりと終わりに、そして日々の深い眠りの淵において、逃れようのない孤独の中にいます。意識と無意識が交錯するその瞬間、私たちの「魂魄」はもっとも無防備で、寄る辺ない存在となります。
頭上に咲きこぼれるエンジェルズトランペットは、美しき毒の象徴。この世界が孕む危うさや欺瞞が、横たわる人物へと音もなく降り注いでいます。しかし、その危機にさらされた魂を、左右から差し伸べられた慈愛の手が、厚い白い布で包み込もうとしています。
性別や年齢という属性を脱ぎ捨て、ただ一人の人間として丸まった背中に、祈りにも似た「加護」という名のまなざしが注がれているのです。
足元で羽を休めるホソミイトトンボは、厳しい冬を越え、光の春へと再生する徴(しるし)。
孤独な夜の淵にあっても、人は誰かの眼差しに守られ、癒やされ、ふたたび立ち上がる力を蓄えてゆく。本作は、目に見えない「守護」の姿を、象徴の連なりによって描き出す試みです。
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