棚田の継承
自然と人が呼吸する風景を、かたちにしたい
ランドスケープデザインコース 遊亀 美文
秦野市名古木棚田を対象に、棚田という記憶の器を未来へ継承する景観デザインと地域モデルの提案。
棚田が持つ自然・農・文化・人の営みを呼吸する風景」捉え、視点場・見学ルート・継承の仕組みを再構築する
本作品は、秦野市名古木棚田を対象に、棚田という“記憶の器”を未来へ継承するための景観デザインと地域モデルを提示するものである。名古木棚田は、都市圏から近い疎空間でありながら、流域がコンパクトにまとまり、棚田・水路・里山が一体となった希少な風景を残している。しかし、維持管理の多くがボランティアに依存し、水路の老朽化や作業負担の増大、見学者に価値が十分伝わらないといった課題を抱えている。
本作品は、こうした現状を踏まえつつ、棚田を“自然と人が呼吸する風景”として再構築することを目指した。中心となるコンセプトは、棚田を単なる農地ではなく、先人の営み・水の循環・季節の移ろい・地域の物語を蓄える「記憶の器」として捉える視点である。
提案は、①視点場の再設計、②見学ルートの再編、③継承の仕組みづくりの三層で構成される。視点場では、棚田の魅力を最大限に引き出す三つの主要ポイントを設定し、地形の読み解き、水の流れ、農作業、生態系、四季の変化を“見える風景”として提示する。見学ルートは、短距離・学習・全体の三種類を設け、視点場と連動した「棚田を読み解くストーリー」を体験できる構成とした。これにより、1時間の滞在でも棚田の価値と継承の必要性が自然に理解できる。
さらに、継承の仕組みとして、教育プログラム、企業研修、、生態系サービスの価値化などを組み合わせ、ボランティア依存から脱却した複合的な支え手をつくるモデルを提案する。これにより、棚田の維持管理が地域内外の多様な関係人口によって支えられる仕組みを構築する。
本作品は、棚田の景観を守るだけでなく、自然と人の関係性そのものを未来へ手渡すための“かたち”を示す試みである。
この地は谷戸地形に沿って築かれた美しい風景。 田植え、草刈り、稲刈り、季節の営みをスケッチで表現。 人と自然が共に暮らす風景の魅力を伝える。 実際に2年間の実践的活動を基に魅力を伝える。
名古木の棚田では、田植え・収穫・生き物とのふれあいなどを通じて、自然と暮らしの関係性を身体で学ぶことができます。
棚田見学ルートに沿って、それぞれの視点場から風景を再発見できるようにしたい。
対象地範囲(谷戸)から展開して模型製作の基盤を作る。
風景を通して伝えたいこと。自然はただ美しいだけでなく、記憶を宿す器である。計画平面図から、土地の記憶と人の営みを未来につなぐ。デザイン提案をして、美しい風景を維持する。
遊亀 美文
ランドスケープデザインコース
このコースのその他作品