ランドスケープデザインコース 今村真也【同窓会賞】
いとなみを紡ぐ ~半原農園キャンプ場計画~
丹沢山地の東端、神奈川県愛川町半原。山々に囲われたこの地で自給的な農業をしながら暮らす日々。担い手不足により周辺の農地、森林は年々荒廃が進んでいる。自然を切り開き、人の手によってつくられた農地、人工林、里山。役目を終えた時、自然に還すべきであろうか。しかし、これらは人々が守り受け継いできた地域の文化、環境であり次世代へ残すべき重要な資産であると考える。そこで地域の課題である、荒廃が進行する農地・森林を活用した地域振興の計画を提案する。
計画対象地のある神奈川県愛甲郡愛川町は人口約4万人、町の中央に中津川が流れ西部は丹沢山地の山々が連なる自然豊かな町である。計画地は町の西部の半原地区にある面積約6haの農地、山林である。半原は江戸時代から養蚕が盛んな地域で中津川に注ぐ沢にかけられた水車を動力とした撚糸業が盛んであったが昭和中期以降は海外製の安価な糸の出現で半原の撚糸業は衰退し町の人口の減少が続いている。計画地は丹沢山地の東端の仏果山の麓で標高210m~260mの台地でアクセスは圏央道「相模線IC」から車で10分ほどの場所にある。中央が畑として利用され、東側は大部分が荒廃農地である。西側スギ林は丹沢山地の登山口であり森林が続いている。
この地にキャンプと農体験をかけあわせたアウトドアを楽しむ空間をつくる計画をした。コンセプトは農地・森林を生産から観光・体験へということで担い手不足の農地は体験農園、荒廃森林はキャンプ場とし、地域課題の解決と資源を掛け合わせ持続可能な地域振興を目指す。農園では短期利用として、季節ごとの野菜や果樹の収穫体験、長期利用の貸農園は、キャンプ滞在で利用できる体制を整える。アウトドアを入り口に農に関心のある人を増やし、農業従事者以外の多様な人材による農地利用を実現する。荒廃したスギ林を活用したキャンプ場では台地形を活かした眺望、豊かな自然環境を活かしたテントサイト。薪を活用したサウナ、風呂、ピザ窯などを計画する。宮沢川の豊かな水の流れと共に育まれてきたホタル・ワサビ・水車という3つの資源を活用し地域の原風景となる水辺空間を創造する。
これらの計画の実現により荒廃する農地・森林は減少し新たな資源となり、観光客の増加、農地利用者の増加、農家の意欲向上、風景の創出による観光価値の向上などが期待され、地域の活性化を実現する。
今村真也【同窓会賞】
ランドスケープデザインコース
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