芸術学コース 伊藤 由布子
2022年春、国立新美術館で、ダミアン・ハーストの新作「桜(Cherry Blossoms)」シリーズ24点を展示する個展が開かれた。ハーストといえば、90年代に注目されたイギリスのヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)を代表する現代アーティストであり、「生と死」をテーマに、動物の死骸やその断面が露わになるようなホルマリン漬けや、ダイヤモンドを覆った頭蓋骨等の作品で、人々に衝撃を与えてきた。作品評価は賛否両論を招きながらも、アートマーケットでは破格の値段で取引され、金銭的に成功し、現代のアート界での知名度は極めて大きい。ハーストもすでに58歳、人生の後半に入った。
そんなハーストの「桜」シリーズは、平面の油彩絵画、抽象と具象の間の表現、その主題は満開の桜である。展示室を埋め尽くす大きな絵画は、明るい色彩に満ち溢れ、幸福感に満たされていた。ハーストは随分変わってしまったという印象をぬぐえなかった。
何故ハーストは、絵画に回帰し、しかも桜を題材とするこの作品「桜」シリーズを制作することになったのだろうか?この疑問が、今回の卒業論文のテーマとなった。
東京都
ダミアン・ハーストの「桜」シリーズ
ー現代アーティストの人生後半における新たな絵画制作の背景ー
伊藤 由布子
芸術学コース
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