所長挨拶

京都造形芸術大学文明哲学研究所の所長を昨年10月1日からつとめています。半年が経過しました。瓜生山のキャンパスを上下に歩き回り、ようやくその雰囲気になじんだところです。

本学の建学理念は『藝術立国』です。それを通じて「核」廃絶と世界平和をめざす教育をおこなっています。創設者である德山詳直初代理事長の強い思いを受けて、文明哲学研究所、略して文哲研は、2012年10月27日に設立されました。ちなみにこの日は、初代理事長が敬愛する吉田松陰(1830-1859)の命日です。松陰は私塾をおこし、明治という時代を切り開く人材を陶冶しました。

まこと小さな研究所ですが、託された思いは大きいものがあります。建学の理念と文哲研に託された使命をわたくしなりに翻案すると、要は、「反核・反原発」と「人道主義(ヒューマニズム)」の旗を掲げて、学問と芸術を交差させることで、自由・平等・博愛といった人類が共有する理念を実体化することだと思いました。またそうした理念のもと、この世界の森羅万象に優しいまなざしを向けられる若者を育てます。

新たな取り組みとして、「文明哲学セミナー」を始めました。第1回は禅宗の山川宗玄さん、第2回は有人宇宙飛行をした土井隆雄さんが講師でした。また「ART meets SCIENCE」という芸術と科学の出会いを演出する企画も始まっています。そしてこれまでと同様に、芸術平和学、芸術認知科学と呼べる新しい研究分野からの発信にも取り組んでいます。HPで詳細をご確認ください。これからも日々一歩ずつ、仲間とともに前へ進みたいと思います。なにとぞ、よろしく一臂のお力添えをお願いします。

2017年(平成29年)4月8日

墨汁一滴

このたび尾池和夫学長の招請があり、京都造形芸術大学文明哲学研究所の所長を10月1日からお引き受けました。微力を尽くす所存です。なにとぞよろしくお願いします。

本学の建学理念は『藝術立国』です。それを通じて「核」廃絶と世界平和をめざす教育をおこなっています。創設者である德山詳直初代理事長の強い思いを受けて、文明哲学研究所は2012年10月27日に設立されました。ちなみにこの日は、初代理事長が敬愛する吉田松陰(1830-1859)の命日です。松陰は私塾をおこし、明治という時代を切り開く人材を陶冶しました。文明と呼ばれる人類の発展には明るい側面もあれば暗い側面もあります。その文明がもつ背反する両面を止揚する哲学を創成する。それが本研究所の使命だといえるでしょう。

略称「文哲研」は、連携校である東北芸術工科大学との共同研究機関として設立されました。2015年9月1日に、京都造形芸術大学単独の附置研究所として再出発しています。設立からわずか4年たらず、初代所長の井原甲二さん、所長代行の尾池和夫学長をはさんで、わたくしが第2代の所長ということになります。これまで、平和文明会議(専門家による研究会議)や、市民講座開講、藝術平和学の確立などの活動をおこなってきました。

まこと小さな研究所ですが、託された思いは大きいものがあります。建学の理念と文哲研の使命をわたくしなりに翻案すると、要は、「反核・反原発」と「人道主義(ヒューマニズム)」の旗を掲げて、学問と芸術を交差させることで、自由・平等・博愛といった人類が共有する理念を実体化することだと思いました。またそうした理念のもと、この世界の森羅万象に優しいまなざしを向けられる若者を育てます。

京都造形芸術大学のロゴは墨汁の一滴だそうです。正岡子規(1865-1902)に『墨汁一滴』という随筆集(岩波書店)があります。学長の尾池先生も俳人として知られた方ですが、私事ながらわたくしの郷里は愛媛の松山で子規と同じです。脊椎カリエスを病んだ末期の目で、「黒きまでに紫深き葡萄かな」と子規は詠みました。物事を深く見つめれば、一粒の葡萄にも世界の真実があるでしょう。一粒の葡萄、一粒の麦、一滴の墨汁、そうした小さなものに目配りすることから、日々一歩ずつ、仲間とともに前へ進みたいと思います。なにとぞ、よろしく一臂のお力添えをお願いします。

2016年(平成28年)10月10日

Profile

所長 松沢哲郎

http://www.matsuzawa.kyoto