授業風景
2020年9月27日 授業風景
2020年7月16日 授業風景
こんにちは。映画学科研究室です。
とうとう、いよいよ!
高原校舎にも1年生がやってきました。
入学後初めて足を踏み入れる高原校舎、1年生のみなさん、いかがだったでしょうか。
当日は「映画演出制作基礎I」の授業日。
北小路先生の「映画概論」で各領域のプロからお話を聞いて理解を深めながら、この授業では技術的なことを何も知らないフレッシュな状態で、1年生が5クラスに分かれて映画を一から作ってみます。
授業それぞれが独立しているのではなく関連性を持って、映画とは何か、映画をつくるとは何か、を1年生の前期に立体的に学んでいきます。
何も知らない状態で作ってみて、何が難しかったのか、何を面白いと思ったのか。
これからどの領域をやってみたいのか、もっと深く勉強していきたいのか。
さまざまなことに気づき、後期以降の学びにつなげていく、映画の世界に踏み込むための最初の大切な、そして大きな第一歩です!
そんな授業を今年コーディネートしているのは、映画学科鈴木三人衆・3人目の、鈴木卓爾(たくじ)先生。
卓爾先生は映画監督であり俳優。
先生が生み出す映画には日常には見えない類のものが出てくることがあります。我々の目に写る日常を、先生はどんな風に見つめておられて、お話の世界を生み出しておられるのかとても気になっています。
観たら何かどこか優しい気持ちになれる卓爾ワールド。覗いてみたい方はぜひ、映画『嵐電』をご覧ください。
また、俳優としてたくさんの映画に出演されていますので、探してみてくださいね!
さて、1年生の登校可能日はたくさん学生が来ることを想定し、5クラス別々の教室に分けて、Zoomの画面をスクリーン投影し、学生の声を集音マイクで拾って、撮影をしているBスタジオと各教室をつないでみました。
事前にどれだけ検証を重ねても、初の試みにはトラブルもつきもの。高原校舎にはエレベーターがないので、校舎内を走り回り、トラブルが起こればそこにすぐ駆けつけて対応します。
(オンラインで小さな画面を見続けることに慣れてますが、大きな画面で観るほうが断然いいなと思いました。)
今回は編集領域の鈴木歓先生による「モンタージュ(編集) ~観客の想像をつなげていく~」の回。
以前のBlogで紹介した歓先生の編集スタイルのお話を聴き、俳優の卓爾先生と水上先生が別々で撮影した素材を歓先生が実際に繋げて、見せ方によって見え方が全く違うということを学びました。
何事にも囚われず、自由な発想で。
思いついたことは全部やってみたらいい!
と先生方からメッセージを受け取った1年生たち。
来週からはいよいよ、撮影に向けた企画・準備が本格的にはじまります。
次にみんなで対面で会える日を楽しみにしつつ、オンラインでどんな映画ができるのかも楽しみにしています。
さて、次回もお楽しみに。
2020年7月14日 授業風景
こんにちは。映画学科研究室です。
映画学科は、俳優が稽古をする「稽古場」と呼ぶ教室をもっています。
特に、高原校舎から少し離れたところにある「稽古場A」は、室内の一辺が鏡張りの明るい空間。
学生達は、自分たちの姿がどう映るのか確認しながら稽古ができます。
3密を回避して行うことがとても難しい「演技」。
映画学科の俳優の授業時間割も、後期に移動したものもありますが、2年生向けの俳優演技は、オンラインであることを武器に展開しています。
俳優・水上竜士(みずかみ りゅうし)先生の授業です!
1年次の授業では理学療法士の先生をお招きして俳優としての身体の使い方を教える時間を取り入れ、
オーディションで勝つために某有名な事務所でスカウトなどのお仕事をされているゲストを招いた模擬オーディション授業を考案した、俳優コースの参謀です。
昔、海外ロケ先で誘拐され、生還した猛者でもあるとかないとか。
そんな先生のZoom授業に潜入。
「はい、ではまず首のストレッチからやってみましょうね。ぐるぐるぐると・・・」
授業はまず、オンライン受講で凝り固まった首の筋肉をほぐし、滑舌をよくする準備運動から始まります。
滑舌をよくするために口をはっきり開けることを意識すると、余計に疲れて滑舌が悪くなるという悪循環に陥るそう。
ポイントは、下唇を動かすことです!
演技っていうのは、’’普段’’の君らを要求されていくのだよ
俳優は「自分の芝居」を確立していかねばなりません。水上先生はスタニスラフスキー理論を独学で勉強され、脚本の「読解」がとても大事であると説きます。
人生経験の少ない若い俳優が、普段の自分で「物語」に負けないようにするには、台詞ひとつひとつの「読解」で1枚も2枚も加わった芝居を展開する必要があります。
理屈や理論は自分の体や心の日常。その日常を知らないで、「演技」はできません。
演技は自分を究極にみつめた形なのかもしれませんね。
どちらでもとれるような観客の感性にゆだねる演技をしたら、次のチャンスはやってこない!
脚本に書かれた「!」「?」「…」は行動。
頭をフル回転して、自分が何を要求されているのか、前後の行動を考察し、想像力を働かせて。
どんな「!」が話の連動の中でしっくりくるのか見つけねばなりません。
「読解」を深め、自分の中で確信をもって芝居できるよう、いかに自分の道具(心と身体)を使っていくのか。
映画に耐えうる俳優をめざすならば、臆病にならずにやれるだけのことをやってみよう!爪痕を残すんだ!と叱咤激励を受け、実際にテキストを読んで演技する学生達。
演技後、「Zoomになって、君たちひとりひとりの表情や目線がいつもよりよくわからるから、ついついコメントが長くなっちゃうよ~」と水上先生。
一見和やかな雰囲気ですが、冷静に考えると、まつげの先まで細かく演技を見られているわけです。
レッスンを受ける学生達は、対面以上に全く気が抜けないのですね。
きっと画面の向こうで、自分の番が回ってくるのをものすごくドキドキしながら待っているんだろうなと思い浮かべつつ、そんな過酷な演技トレーニングを経て、合評のスクリーンに登場する2年生を楽しみにしています。
さて、次回もお楽しみに!
2020年7月3日 授業風景
こんにちは。映画学科研究室です。
映画学科の学生たちは、猛暑も極寒も関係なく校舎内の至るところでお昼を食べたりミーティングをしたり元気いっぱい!にぎやかな学生達の声が再び聞こえてくるようになるのが待ち遠しい今日この頃。
いつも学生達が座っている場所からどんな景色がみえるのかなと、構内をうろうろしていたら・・・
映画学科鈴木3人衆のひとり、編集領域・鈴木歓(すずき かん)先生に遭遇!
歓先生は編集マン。そして、カメラに読書にお料理と、多彩な趣味の持ち主です。
学生達の真剣な様子や中庭でくつろいでいる表情など、カメラに収めて回っておられ、神出鬼没。気配なく近づいて、いい表情をとらえます。
学科の最年長でありながら、みんなが楽しくなることを編み出すパワーはNo.1!
授業や編集のお仕事の隙間時間で、学生とバトミントンをしたり、スケボーしたり、並んでかき氷を食べたり。今は、卒業生に声をかけてのZoom同窓会に、オンライン授業のより面白い進め方を考える教員ミーティングの主催と、日々大忙し。みんなのお兄さん的ポジションです。
編集中は真剣かつ、いつもどこか楽しそうで、ついつい画面を覗きたくなります。
そんな歓先生ですが、合評(*)では一変。
「映画って、長けりゃいい、短ければかっこいいってものでもないから」
と、短く厳しい言葉をなげかけます。
編集は切って・繋いでの繰り返し。
つなぎ方によっては、同じ素材でも全く見え方が異なるので、何度もラッシュ(*)を繰り返し、あーでもないこーでもないと監督やスタッフと議論を重ね、修正し、またラッシュを重ねて。
その作品にとって、よりベストな尺(長さ)は何なのかを見極め、仕上げていきます。
見極めるのは至難の業な気がしますが、宝探しのようで楽しそうだなとも思います。
映画の世界は”嘘”だから、何だってできちゃう。ほら、時空だって越えられる!
編集は、見る側の話のとらえ方自体が違ってしまうこともある重要な過程。
しかし先生は、撮影した素材の脚本を読まないで始めるそう。それで一体どうやって、ひとつの映画に編み集めていくのでしょう。
その方法は、ぜひ歓先生の授業で。
もしくは、いつか高原校舎内のどこかで先生をつかまえて、アイス片手に並んで話してみてください。
先生の授業では、受講生達と撮影素材のやり取りをしながら、個々に編集⇔みんなに発表を繰り返し、授業を進めています。
今は手元で同じ素材をそれぞれ編集している学生達。発表となったとき、どんな作品になっているのか楽しみです。
それでは、また次の領域をお楽しみに。
*ラッシュ:撮影状態確認のための、音声の入っていない未編集プリント。またはその試写。取材が終わった収録テープで、まだ編集が終わっていないテープをいう。
スタッフ間で試写、検討するときに「ラッシュを見る」などという。ラッシュには段階によって「ニュー」「セミ」「オール」などの種類がある。
*合評(がっぴょう):みんなで集まって作品の講評をする会。大切なことは、作者への敬意を忘れないこと。そのうえで、厳しい評価も飛び交います。
映画学科では、4年生の卒業制作の合評になると、朝から晩までまる2日かかります。見る側の体力勝負でもあり。
2020年6月15日 授業風景
こんにちは。映画学科研究室です。
前回に引き続き、高原校舎Bstudio(Bスタ)からお届けしています。
Bスタは総板張りのスタジオ。俳優の稽古場、撮影スタジオ、広めの作業場と用途は様々です。
今回は、映画批評家・北小路隆志先生の授業中。
当学科に入学したすべての学生が学ぶ「映画概論」。映画を構成するさまざまな領域からゲストをお招きし、観客の目線を代表した北小路先生が、作品を介して作り手の考えを聴いてみる、という授業を展開しています。
北小路先生は、数えきれないほどの映画を観て研究されている映画批評のプロフェッショナルです。
どうやって覚えておられるのか不思議でならないのですが、映画のシーンをとても細かく覚えておられ、言葉に紡がれます。
映画を観ているときはいつもと違う眼差しです。
トークのプロでもあり、ゲストのお話からキーワードを丁寧に拾い集め、映画のシーンと巧みに結びつけて問い、ゲストからさらに言葉を引き出してゆかれます。
あ!それ今まさに聞きたいって思ったことだ、と思った受講生もいるのではないでしょうか。
さて、本日のテーマは「演出」。ゲストは映画監督・福岡芳穂先生です!
北小路先生と同じく、福岡先生も言葉の魔術師だと(私は)思っていますが、人物をとてもよく見つめておられます。
ひとつの考えに偏っていると感じられた時、即座に、「本当にそうなのか?」と”敢えて”揺さぶりをかけ、別の選択肢、表現もあることに気づかせてくれます。私も、はっとさせられたことが何度も…。
俳優の内から生まれてくるものを、生まれさせるように、どう仕掛けるのだ?
監督の大きな仕事のひとつであり、俳優はもとい、すべてのスタッフにとって重要な「演出」。
演出をする際、一番やってはいけないことは、俳優に感情を押し付けることだそうです。
このシーンはとても悲しい気持ちだから、ここで涙を流してください、という言い方はしません。そう言われた側は、これまで観てきた”何か”の感情をコピーしてしまうからだそう。
思い描いている感情を俳優の内から生まれるよう仕掛けを考え、「動線」「位置」「距離」「視線」という4つの具体的な指示を出して、スタッフ全員で俳優を見つめます。
キーになる”もの(物・者)”を空間のどこに仕掛けるのか。
「演出」は、監督だけが考えればいいものではなく、映画にかかわるスタッフすべてが、それぞれに考えることです。
時には美術部から提案を受けたり、あるいは俳優からこうしてみたいと提案を受けて、撮影部や録音部とも相談して、”それ”をとらえるカメラや録音機材などをどこに仕掛けるのか、さまざまな視点から「仕掛け」を考えていくそう。
それらは、撮影を実際に始めるずっと前から、気が遠くなるほど緻密に始まっています。
実際にどんな演出をされたのか、先生が監督された作品のワンシーンを見せたり、それと同じシーンを実験的に上位学年の学生に「Zoom」を使って演技をしてもらった映像を見せたりと、授業の「演出」も。
出演は、4年生俳優コース 池内祥人君と山口紗也可さん。(ご協力、本当にありがとうございます!)
(Zoomで演技をしてみて、「私にとって演出とは制限。制限の中でもがくからこそ、自身の想像をも超えた表現が内から出てくるのかも。」と山口さん。)
俳優の内から生まれてきたものを全スタッフがもらい合ったとき、想像していた以上の表現を見つけることもあるのだそうです。
映画は集団制作。あらゆる視点からの意見を取りまとめ、ひとつのものとしていくのはとても難しいことだと思いますが、スタッフ一人一人がその作品に真剣だからこそ、いろいろな意見が出てくるのでしょうね。
次回以降も、「映画概論」は東京からのZoom参戦で、続々と豪華ゲストが続きます。
受講生の皆さん、お楽しみに!
※授業撮影会場は常に窓を開けて換気。ゲストとお話する際は、ソーシャルディスタンスを保っています。
映画学科の学生達も、映画をつくっていくうえで時に大きくぶつかることもあり、傷つく姿は、そっと見ているこちらも辛くなるほど。
しかし、だからこそ、皆さんがもがいてもがいて生み出す作品は本当に尊いです。
今年はこの状況のなかで、どんな内なるものを皆さんは生み出すのでしょう。
いつも学科や学生のことで真剣に話し合っておられる先生方。映画について楽しそうに話されている姿を見るのは初めてだったかもしれません。
こんな風に学生達もまた、キャンパス内で映画の話が楽しくできる日がきますように。
では、次の領域もお楽しみに。
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