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ランドスケープデザインコース 牛久保 星子

海岸段丘のグスクー越前海岸城有地区新文化的景観-


山と海と人々の営みは近年まで密室な関係を築いてきた。

福井県の日本海に面する越前海岸は、海岸段丘の続く土地である。
厳しい自然環境の中、人々はわずかな平地を切り開き、
めぐる季節の中で森や海の恵みを受けながら暮らし続けてきた。

強い海風の中、急斜面に自生する水仙の花を冬の特産品とし、
この地の景観に育て上げたのは、暮らし続けた人たちとこの土地の万象である。

日本海沿岸に面した急斜面や棚田に水仙が咲く風景は、
美しい里山景観であり、国の重要文化的景観に選定(2021年3月26日)された。

しかし、現在暮らす人たちはどんどんまちに出て、過疎化が進み、耕作放棄地と獣害で急速に景観が失われつつある。


この景観が失われることは、文化の喪失であり、ここに暮らす人の営みの断絶である。

今回暮らす人の視線のその先に、力強く美しい未来をつづけるために
「三方から象(かたど)る、新文化的景観の形成」を提唱する。

目に見えるものと、目に見えないものを気象と、地・海、建築物の三方から象ることで、
昔から暮らす人と次代を担う人が交わり、これからの一隅を照らすランドマークとしての景観形成を行いたい。

私が考える新文化的景観の定義は、次世代へとバトンの繋がれた人の息吹を感じる景観である。 現在国の指定した重要文化的景観は、実際に暮らす人々の高齢化や、生業の継承 が課題になっている場所が多く、このままでは近い将来失われる可能性があると言えるだろう。

新文化的景観とは、守るべき文化的景観を未来に続けていくために、その場所を象る三方 (気象・地や海・建築物+α)を見直し、その場所に適した新たなソフトを入れることで、 今維持している人たちから次世代へとバトンの繋ぎ、未来へ人の暮らしの可能性を見出した景観である。

今回、対象地の海から山へと続くランドスケープの中を「海辺のアクティビティ」「急斜面の体感」「万象アート」「暮らしと遊び」の4つにゾーニングした。
この場所の物語を描き続けていく人たちが軸になり、人を結び付けながら景観を形成し続ける生きた文化的景観の形成をここで行っていく。

先人たちの営みと、森羅万象への敬意をここに。
そして新たにつづいていく歩みと共に。
海岸段丘に、風土象る城在り。

コンセプト「三方から象る新文化的景観」

計画対象地の現況など

ゾーニングと近隣地域や活動との交流

植生計画および季節サイクルと場所の仕組み・人の関わり

断面図&模型写真

平面図

牛久保 星子

ランドスケープデザインコース

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