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大樹と妖精

自然の美しさや複雑さの再認識

イラストレーションコース 熊坂 光

コース奨励賞

作品サイズ:430×841mm

制作時間:113時間

「自然鑑賞を促すイラスト表現」をテーマに制作した作品。

 近代の日本社会は都市生活やインターネットの発展により自然に目を向ける機会が減り、自然や植物とのつながりが希薄になっていると感じている。実際にインターネットの全体平均利用時間は2024年で200分以上であり、SNSの利用率も全年齢で増加傾向にある。ここからSNSの一般化によってインターネットの利用時間が増加したと考えられる。以上の点からネット等の利用時間が増えたことにより自然に目を向けることが減り、自然や植物の魅力を知り得てない人が増えていると考察する。この作品はそういった魅力を知り得ていない人に向けて、美しさや複雑さを再認識するきっかけを作ることを目標に制作した作品である。

 そのため、『大樹と妖精』は大樹に注目されるように細部に至るまで全て描き込んで表現している。例えば、大樹の樹皮部分のゴツゴツ感を表現するため塗りで大きな割れ目を描き、その上から波状の線をランダムに引いている。これにより、リアリティもありつつ緻密な描写が施された樹皮の凹凸感が表現されている。
また、苔の表現は実際の苔とはかけ離れた描写方法で表現している。理由として、樹皮部分と同じくらいの緻密な描写でないと絵力に差ができてしまい、大樹のインパクトが欠けてしまうと考えたからである。この表現方法はジブリの背景画集にて樹木の一部分に施されており、樹木らしさを損なわずに情報量を上げることができると思いこの表現で制作している。またしめ縄や妖精も大樹に注目を集めるために配置したモチーフである。

 この大樹のイラストで、実際の自然を見たくなったり、現実の大樹とイラストの大樹との違いを見てみるといった、自然と触れ合うきっかけになれたら嬉しく思う。この卒業制作を通じて、自然や植物とのつながりが増えて行くことを願っている。

大樹の塗りのみの画像。大きめの割れ目と明るい色をその割れ目に沿って入れることで、樹皮1つ1つの立体感を強調している。

大樹の線のみの画像。光の面と影の面で線の色を変え、大樹の立体感を強めた。線を描きながら色を変えたため、色の混じった1本線がないこともこだわった点である。

大樹の画像。線と塗りが合わさって想定以上の質感表現が出来た。

しめ縄の画像。大樹に力強さや神聖な印象を持ってほしいと思い、しめ縄を描いた。藁を1本ずつ描き大樹に負けない緻密な描写で表現している。

下部の苔の画像。

後ろの大樹の画像。メインの大樹と同じ表現で描写し、画面の密度を上げた。

妖精の画像。キャラクターが居ることでよりこの作品に興味を持つ人が増えると考え妖精を配置した。白基調のカラーリングで視線が向きつつも大樹以上に目立ちすぎないように制作している。

大樹の画像2枚目。線と塗りが合わさった表現は手前にあるメインの大樹のみに行っている。

熊坂 光

イラストレーションコース

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