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卓上カレンダー -消えゆく原風景-

イラストレーションコース 成田 惇朗

サイズ:A6変形 W148×H150×D62mm
イラスト:W148×H100mm
素材:マットコート180kg

「消えゆく原風景を形に残す」をテーマに、ポストカード風の卓上カレンダーを作成しました。
イラストの部分をキリトリ線からポストカードサイズに切り取ることができるため、カレンダーとして使い終わった後も、部屋に飾るなどして手元に残すことができます。

制作の発端は、イラストレーターとして絵を描く理由を改めて考えたことでした。私は、生成物や写真と比較した人間が描いた絵の特徴は、描き手の美意識が恣意的に再現されることであり、「感動体験を形にすること」が絵を描く理由の一つであると考えました。しかしその過程で、自身の美意識の根源にある風景が一般的な美とは異なり、それらの風景は記憶されず消えゆく可能性があることに気が付きました。

原風景とは、個人の心の奥底から思い浮かべる原初の風景で、郷愁や懐古を想起させるものです。私にとっての原風景は、枯れた売地、古い街路灯、廃業したガソリンスタンドなど、退廃的なうら寂しさを湛える地方の風景と、そこに息づく人間の雑多な生活風景でした。
ありふれた風景は、文化的,経済的,芸術的価値が存在する名所や絶景とは異なり、目線を向ける者がいなければ記憶も保存もされませんが、そこには民族学的価値以上に、人間の生活の営みという普遍的な価値が存在します。このように、美が内在し表面的に現れないものに対しては、そこに美を感じた人間が感動を再現することが、ある意味で直接的な美の表現方法であると私は考えました。本作は、そのような風景を形に残し、手に取った方の記憶に残るプロダクトを目指し制作しました。

風景は季節と密接に関係があることから、プロダクトとしてカレンダーを選択し、儚さというテーマ性をヒントに、少女を主体にしたノスタルジックなイラストを作成しました。全ての人が共感するノスタルジーを表現するのは困難かつ現実味に欠けるため、原風景は自身の体験や故郷の写真を参考にしました。また、テーマ性を一貫させるために、全ての絵に季節感,郷愁,退廃的なモチーフを描写しました。表現においては、人々の目に留まる美を描くことと、ありのままの風景への感動を再現すること、両者のバランスを意識し、美化のないリアリティと同時にイラストならではの表現を目指しました。

本作を手に取った方が、イラストとともに季節の移ろいを感じ、使用した後もただ良い風景だと感じ、記憶に残して頂ければ幸いです。

イラスト部分はポストカードサイズに切り取り、飾ることができます。

成田 惇朗

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