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MALAIKA

沙漠の天使たち

イラストレーションコース 東郷知沙 (chisa105)

アラビアンナイトに出てくる世界各地(計8カ国)の現在の様子を、イスラム教の天使たちと一緒に巡る解説付きイラスト集。
日本人にとっては馴染みが薄い地域であるため、どうしても関心や理解が得られにくい、または紛争や政情不安に関する報道により好ましくない印象を持たれがち。もしくは、観光名所の美しい映像だけが一人歩きしがちである。本イラスト集は、各地をイラストで紹介しつつ、そこにまつわる社会や歴史を解説文で紹介することにより、その背景について理解を深めながら鑑賞を促すことを狙いとした。
私自身が中央アジアや中近東、アフリカを訪れた時に見聞きしたことを広く伝えたいと思ったこと、そして、SNSが広まる昨今、表面的な画像の見映えだけでなく、その地に生きてきた人の生活や想いにも気持ちを馳せて欲しいと思い作成した。各イラストに登場する天使は、人間の目には見えないが、確かにそこに存在する歴史や文化の存在を表現している。AIの発達により誰でもイラストが生成できるようになったけれど、人間が作り出した作品から製作者の思いや考えなどを感じ取り芸術として味わう感覚が失われてしまう、そんな未来は来て欲しくないという想いも込めて、全てのイラストを描き上げた。

冊子にした際の表紙。天使が休憩のためにモスクの中庭に舞い降りた場面を描いた。モデルはスペインのアルハンブラ宮殿。

イラスト集の概要紹介と目次を兼ねた導入ページ

1.イスラエル−「聖なる丘」−。各イラストに天使も紛れていることを暗示するため、この絵だけ唯一「砂」と「人間」を描かない代わりに、はっきりと天使の姿を表現した。

2.イラン−ペルセポリス−。作成中はカップルだけ描いていたが、イラン国内の政府デモが拡大したため、少しでも明るい未来になることを期待して、子供達を書き足した。

3.ウズベキスタン−アラル海−。環境破壊が激しく、今でもアラル海湖畔だった村は貧しいが、日本含む世界の研究者が復興に尽力しているため、希望を感じられるようにした。

4.アフガニスタン−バーミヤン渓谷の仏教遺跡−。タリバン政権による仏像のダイナマイト破壊は世界に衝撃を与えたが、元々は何世紀にも渡り地元で大事にされてきた。

5.インド−タージ・マハル−。一般的には陸側から撮影された姿が有名。ヤウナー河の対岸に対となる廟を建てる計画が幻となったことを朝靄で表現した。

6.モルディブ−「インド洋の真珠」−。バカンス先として海に浮かぶバンガローで有名な観光立国だが、国民のほとんどがムスリムという島嶼国。

7. ガーナ−ララバンガ・モスク−。ガーナ国民の半数以上はキリスト教徒だが北部にはムスリムが多く、古くはサハラ砂漠横断交易で栄えたガーナ帝国があった。

8.エジプト−カイロ−。SNSで注目を浴びるためだけに写真を撮る外国人観光客は、肌を露出すべきではないという社会マナーを無視、もしくはその存在にも気付かない、という無関心さを揶揄したもの。

東郷知沙 chisa105

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