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季節をめぐる『香りの旅路きっぷ』

イラストに香水を重ねて記憶を振り返る体験型フレグランス

イラストレーションコース 松岡 茉莉

コース奨励賞

ムエット(きっぷ)3点、香水3点、パンフレット1点、動画1点

この作品は「イラストと香り」を通じて、思い出されるものを記録する体験型フレグランスです。

はじめに、なぜ香りの感じ方は人によって異なるのでしょうか?私たちの体が持つ「五感」の感覚は、脳の様々な部分を通って伝わりますが、嗅覚は脳の「記憶」の部分に直接届きます。つまり、同じ匂いでも紐づけられる「思い出」が異なるために香りの印象が左右されるのです。

例えば雨の匂いを嗅いだとき、「傘を忘れて走って帰った学生時代」を思い出すとしましょう。それが楽しかった思い出なら良い匂いに、嫌な思い出なら苦手な匂いに感じるというわけです。それと同じように、私は「冬の香り」を感じることができます。これは、田舎に住んでいた頃に経験した「冬の冷えた空気」や「枯れ葉の匂い」が再生されるためだと考えます。

このような感覚を共有、保存したいという思いから制作にいたりました。ムエットはきっぷに、香水は駅に見立てて、「鉄道旅行」をコンセプトにしています。香水の香料はあえて明かしていません。あなた自身の「記憶の香り」として「見て、嗅いで、書いて保存すること」が目的です。

2020年、コロナ禍における外出自粛やマスク生活は、日常から香りを感じる機会を制限しました。私自身も、後遺症による1年間の嗅覚障害を経験しています。記憶の中の香りを思い出すなかで、「嗅覚と記憶」の深い結びつきを知ったことが制作のきっかけになりました。本作品は、芸術として楽しみながら感性を再発見する「嗅覚トレーニング」の側面も兼ねています。

今ポストコロナを生きるすべての人へ、香りをカタチにするという行為に興味を持っていただけたら幸いです。

季節をめぐる『香りの旅路きっぷ』こがらし行き編、プロモーション動画

松岡 茉莉

イラストレーションコース

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