本文へ移動

イラストレーションコース 山西 悠【学科賞】

■タイトル
境界の喪失、少しの解放

■説明
仏教における悟りの世界への気づきを描いた作品です。

かつて日本の国教となり現代においても我々の生活に根付いている仏教は、ブッダという一人の人間が、到達した境地を伝えようとしたところに始まります。
その境地とは言葉を脱した先にある、万物が繋がり、混ざり合い、「私」も存在しない世界だと言われています。西洋的な科学信仰や言語優位の考えが浸透し、「確固たる私」を求められる現代において、辿り着くことは困難な場所でしょう。
しかし、その境地に少しでも触れることで、役割や「らしさ」、「私自身」から逃れる視点を得ることができると考えます。

この絵は左から右にかけて無分別智(境界線のない悟りの世界)の視点へ変わり、「私」も解体され境界が溶けて消える様子を表現しています。

仏教において「理解する」とは言葉で知識を得るのではなく、体感で「分かった!」と思うことです。そして悟りの境地が言葉を捨てたところにあるのならば、絵は理解を促す最良の媒体の一つではないでしょうか。
ブッダは悟りを開いた時、頭の中に浮かぶ数々の思い出や思考をひたすらに無視し続けたといいます。思考を荒波に投げ入れ、境界線が溶けて全てが一体となった無の静寂を感じたあと、現実を見つめる「私」の中には鮮やかに色づく世界と少しの解放感が芽吹いていると信じています。

UVインクジェットプリントにて印刷。横幅1m10cmの作品です。

曼荼羅模様をグロス加工し、浮かび上がるようにしました。

山西 悠【学科賞】

イラストレーションコース

このコースのその他作品