イラストレーションコース 石野 恵梨果【同窓会賞】
■ タイトル
犬のかみちゃん
■ 説明
この作品のテーマは、「野犬がどのように家庭犬となるのかという過程を描く。」です。
このテーマを選んだのは、どんな犬も大事な存在で個々のアイデンティティがあることを表現したいと思ったからです。
私が飼っている犬は元野犬です。野犬とはどのような犬かご存じない方が多いのではないでしょうか。犬が好きな私も知りませんでした。野犬とは、野生動物のように自然の中で自力で生活し、人間との接触がほとんどない犬のことで、駆除対象にもなっています。野犬と純血種の犬の間には人間による格差社会があり、野犬は人間にとって有害動物なので、捕獲されたら殺処分か人に飼われて環境に順応しなければなりません。
犬が人間の支配下にあるのは変わりませんが、野犬として生まれた時点で純血種より不公平な運命が決定されています。
私はこのような野犬の実態をアレックス・ヘイリーの『ルーツ』という作品と重ねて表現しようと思いました。『ルーツ』は、作者のヘイリーが自分のルーツを辿って書いた、もともと奴隷として売買されてきたアフリカ系アメリカ人を主人公とした小説です。生まれた時点で白人に売買され、所有物となることの社会的格差および不公平さが野犬の存在と重なります。ヘイリーは自分のアイデンティティはルーツを辿ることと考え、作品を執筆しており、私は私の犬の来歴を調べることで、雑種の野犬であっても個々のアイデンティティがあることを表現したいと思い、作品にしようと考えました。
また、現代において犬の生活の質は時代とともに上がっているので、問題が受け止めやすいと考えました。犬の生活の質が上がったといっても、純血種の人気が高く、野犬を飼育している人の情報が少ない上に野犬を家庭犬として迎えてもその犬の来歴まで調べている人はおらず、野犬がどのように捕獲されるか知っている人は少ないと考えられます。このような現状で、野犬のことを社会に発信することは意味があるだろうと考えました。
野犬がどのように家庭犬となるのかという過程を多くの人に知ってもらうために、Webで公開および、冊子形式で頒布することを想定して作成しました。
表紙 / 扉絵(プロローグ)
1-2ページ 野犬の群れ
3ページ 食べ物を探す一匹の犬の登場
4ページ 空腹と檻の恐怖との葛藤 / 5ページ 捕獲器に捕えられる。
6ページ 保健所(動物愛護センター)へ向かう車の中。外の綺麗な景色。
7ページ 動物愛護センターのウェブサイトの収容動物一覧に掲載されている。/ 8ページ 檻の中。近づく人影。
9ページ 檻から出され、新しい人間とのお見合い。
10ページ 新しい人間の部屋
11ページ 「ただいまかみちゃん」「おかえり!」
裏表紙
石野 恵梨果【同窓会賞】
イラストレーションコース
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