半導体のない世界-真空管世界「Tube World」
「tube1-1」
イラストレーションコース 伊藤信行 (novgorod3000)
【制作時期】2025.11.22
【制作期間】作画:3週間 世界観の構築:3カ月
【使用画材・ソフト】鉛筆、ボールペン、CLIP STUDIO PAINT
【概要・コンセプト】
半導体が発展せず、真空管がその代替技術として進化し続けた世界では、私たちの社会や生活はどのような姿になっていただろうか。本作品は、「もしも半導体が存在しなかったら」という仮説を出発点に、真空管技術を基盤とする架空の世界をビジュアルとして構築した卒業制作である。
真空管は小型化や高集積化が困難で、消費電力も大きい。そのため、現代のようなスマートフォンや薄型ディスプレイは成立せず、情報端末は大型のバッテリーや発電機を伴う装置となる。ディスプレイはブラウン管、表示にはニキシー管、入力はキーボードによって行われ、音楽を聴くためには真空管アンプを内蔵した装置を身にまとう必要がある。
本作品では、そのような制約の大きい技術環境の中で、情報端末を装備することが社会の前提となった世界を象徴する存在として、年頃の女の子の姿を描いた。重厚な装置をごく普通の女の子が身に着けることで、この世界におけるテクノロジーと人間の関係性が直感的に伝わるような絵になるよう心掛けた。
また、真空管を前提とした社会では、設計や製造の制約から、建築や乗り物、衣服のデザインは現代よりも単純でレトロな意匠になっていたと考えた。大量の真空管コンピューターを稼働させるため、街のビル群の屋上には巨大な自家発電設備が設置され、都市景観そのものが電力消費を可視化する構造となっている。
一方で、すべてを技術的整合性だけで構築すると、創作としての広がりが失われてしまう。そこで本作品では、用途不明の宙に浮く真空管装置や空飛ぶバイクなど、現代には存在しない要素もあえて取り入れ、この世界に揺らぎと想像の余地を与えた。
技術的制約から出発した仮想世界が、人の生活や感覚、文化へとどのように波及していくのかを描くことを、本制作の到達点としている。
【作品の用途】
エレクトロニクス技術系雑誌の表紙や挿絵
「tube1-2」
「tube2」
「世界観イメージボード」 完成連作を制作するにあたり、舞台設定や技術背景から世界観を構築。本作では真空管技術を前提に、世界の成立条件をイメージボードとして描き出している。
「キャラクター/機械 設計イメージ」 キャラクターが身に着ける真空管コンピューターや発電機を、用途や技術段階を想定して設計。初期案から熟成モデルまでの変遷を描き、世界観を具体化。
「都市・建築 設計イメージ」 真空管技術を前提に、都市や建築の構造を設計。電力供給や設備配置なども想定し、キャラクターが生きる世界のスケールを具体化。
「キャラクターデザイン」 技術設定や時代背景を踏まえ、キャラクターの表情や服装を検討。この世界の中で生きる人物像をデザインした。
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