イラストレーションコース 西山 瑞穂【同窓会賞】
■ タイトル
もやもやするのなあに ろうがん一年生
■ 説明
誰にでも等しく訪れる“老い”。受験や就職や結婚のように選択肢はありません。
核家族化が進んだ時代に育った私がリアルな老いを初めて経験したのは自分の目の衰え、“老眼”です。
老いは人間の成長、成熟の行先に必ず訪れるものですがリアルなイメージは当事者の症状として現れるまで持つことが難しい現状があります。それは老いが“死”という不可解でタブーな領域に近いもので元気な人間が受け入れがたい負の事実だからだろうと思います。
2023年の私はじわじわと感じる視力の変化にとまどい、憂鬱と不安が暮らしの中に入り込んできていました。
自分の身に起こる老いという理不尽さをどう受け止めてたら良いのか老化に対してまるでリテラシーを持ち合わせていませんでした。そしてちょうど卒業制作という大きな課題のタイミング、、、。憂鬱さに臥している場合ではないのに筆と頭が働きませんでした。
更年期の憂鬱さをどうにかしないと卒制どころではないと頭を抱えていた時、「そうか、この憂鬱な老化について自分のためにイラストレーションの力を発揮させればいいのだ」と製作が始まりました。
老化のイメージを変え、子供や若い時代の人にもタブーにしない世界観。
当事者ならではの饒舌すぎる第一稿、から元気な第二稿、私の求めるものはポジティブのための饒舌さや応援歌ではないと消去法で作品の方向性が定まりました。
老眼の視力への考慮、また子供や若者世代にも感覚的に認識してもらいたいので文字を極力減らした表現にしました。色や構図でページを進めるべく色合いは明るく、テンポをつくるような組み合わせにしています。老いの認識の再構築は大きな課題で簡単にその最適解はみつかりませんでした。今後追って改訂を重ねていきたいと考えています。
西山 瑞穂【同窓会賞】
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