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自然への回帰 -生の記憶-

自然から離れた現代。生命の母体である地球に依存し生きる、人の内に残る “生の記憶” “自然への還り”。

イラストレーションコース 清水佑美

本作は、自然から離れた現代においても人の内に残り続ける「生の記憶」と、生命の母体である地球を土台にした自然への還りをテーマとした一枚絵です。
このテーマに至ったきっかけは、私自身が現代社会における“自然離れ”を大きな課題だと感じていることにあります。看護師として働く友人の話から、病院に運ばれてくる多くの患者が生活習慣病を原因としている現状を知り、その根底には自然から離れた生活があるのではないかと考えるようになりました。

土に足をつけ大地を感じ、太陽の光を浴び、胸いっぱいに空気を吸う。日が沈めば身体を休め、昇れば目を覚ます。こうした自然を軸とした生活を現代においてどれほどの人が実感できているでしょうか。便利さと引き換えに、私たちは「生きている感覚」そのものを鈍らせているのではないかという疑問がこの作品の出発点となっています。

私が考える「生の形」とは、普段は意識されることなく体内を巡り、私たちが知らないところで命を支え続けているエネルギーそのものです。それは水のように流動的で、やがて根を張り、生命を守るものとしてイメージされました。今回はその「生の形」を象徴するものとして心臓を中心に捉え、地球や心臓から循環するエネルギーの流れを画面全体で描きました。

画面では、人物を地球の上に眠らせ一体化させる構図によって私たちが無意識のうちに地球に依存して生きている存在であることを象徴的に表現しました。
また、人物の体の中央に配置した心臓は生命の核であり、地球からのエネルギー(妖精、金の光線)に触れる→生の記憶が呼び起こされる→生きている感覚を取り戻す→生きている象徴の“心臓”が輝き動き始める→エネルギーがそこから始まる→生命・植物が蘇る→生を感じさせる色鮮やかな姿になるという流れをイメージして、緑が心臓の部分から徐々に外の枝にも広がっていく、という一貫したエネルギーの流れを意識しました。

主に人物の右半身にはひび割れた硬質な質感を与え、自然との関わりを失い感覚が麻痺した現代人の姿を重ねました。一方、左半身や身体の一部分では自然と再び接続することで生の記憶が呼び起こされ、植物が芽吹きます。そして人物が流す涙は、忘れていた感覚を取り戻した瞬間の恍惚と歓喜の象徴を表しています。

配色は地球の青・緑・茶を基調に統一し、写実性と象徴性の間を行き来する世界観を目指しました。心臓周辺のみ明度と彩度を高めることで視線を集中させ、「生きている」という感覚そのものを心臓として描き、見る人の中にその感覚を呼び起こすことを意図しています。

今を生きる人々が地球に生かされていることを実感し、大きなことでなくとも身の回りの違和感や日々の在り方を見つめ直すきっかけに出逢い続け、善良に、幸せに生きられますように。
この作品がなにかの助け、癒しになれば幸いです。

清水佑美

イラストレーションコース

CONTACT

高校卒業後、四年制大学の教育系の学部に入学して2年間勉強しましたが、方向性の変化のため休学&中退を経て本学に編入しました。もともと様々な分野において表現することが好きだったので、イラストの分野で基本から勉強し表現の可能性を追求したいと思い本学に入学を決めました。
入学後は、大変だと思うこともありましたが、それ以上に自分でスケジュール管理をして授業動画を見て課題をこなす日々がとても楽しくて充実したあっという間の2年間でした。本当はまだここで勉強していたいくらいです。
私が描くイラストは大体、可愛らしい愛着が出るような絵柄になります。颯爽としたかっこいい絵もいつか描きたいです。先生方や、今までたくさん絵を描いてきたであろう画力バケモノな方たちの作品を見て憧れ、鼓舞される日々です。
今後も、もっと画力を上げるために学んだことを振り返りながら自分の絵柄も大切に楽しく絵を描いていきたいです!

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