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つながる想い

書画コース 倉井圭子

半切1/4

私自身の思い出をもとに、親から子へと受け継がれる愛情と生命の巡りを表現した。
家族の中で連なっていく「想い」や「温もり」に焦点を当て、赤ちゃんの成長とともに、再び命が巡っていくまでの「思いの循環」を描いた。
登場人物はあえて後ろ姿で描くことで個人性を曖昧にし、鑑賞者が自身の記憶や感情を重ね合わせられる構図としている。

握る:祖母、母、私。三人の手で子どもを沐浴させる情景を通して、握られた手に宿る記憶と、世代を越えて重なっていく愛情を描いた。柔らかな木漏れ日の光のような表情で、その温もりを表現している。
見つめる:母の腕の中で安心して手を見つめる子どもと、その無邪気な笑顔を見守る母の姿を描いた。朝顔の花言葉に託された「愛情」と「結束」を、親子の絆と穏やかな幸福感として庭に咲く花とともに表現した。
繋ぐ:満開の山桜の下、不安と期待を胸に入学式へ向かう親子が、手を繋いで歩く姿を描いた。山桜の花言葉「あなたに微笑む」「淡泊」に着目し、白描による淡い表現で親子の関係に重ね合わせている。
結び:結婚の写真撮影における一場面を描いた。和傘を持つふたりに四君子の竹を配し雅やかな雰囲気を表現した。結ばれた二つの手には新たな希望を託し、時の巡りは再び最初の一枚へと繋がっていく。
巡 ―つながる想い― 時の巡りと季節の移ろいを、「手」を通して表現した。日本的なかるたの形を取り入れ、周囲に四君子を描くことで時の流れを示した。文字は「手」の形をかたどり、淡墨で隷書体の逆文字とした。
あの頃の庭:菊と竹柵、餌をついばみに集まる雀の姿を描いた。子どもの頃、父が庭先で鳥を呼び寄せる仕掛けを作っていた記憶をもとに、日常にある懐かしい情景を通して、人と自然とのささやかな関わりを表現した。

倉井圭子

書画コース

「巡 ― つながる想い ―」をテーマに、自身の大切な思い出や日々の経験をもとに作品を制作しました。
過去の記憶が今の自分につながり、世代を超えて巡っていくことに気づき、このテーマを選びました。
卒業制作では、これまで学んだ、書画同源や余白の美、気韻生動、文房四宝を扱う技術を礎に、自分の関心や感情を表現しました。
作品を通して観る人と何かを共有できればと考えています。
水墨画は、墨だけで描かれるにもかかわらず無限の表現が可能で、その奥深さに魅力を感じています。
この可能性を追究しながら制作を楽しみたいと思います。

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