光のあたる場所 ヴェラルーメ
―誰を想い、何を選ぶか―
イラストレーションコース 寺澤志織
本作はノベルゲームを想定し、「愛の形はひとつではない」という視点を軸に、恋愛を“数ある選択肢の一つ”として扱う群像劇として設計した。恋愛エンドのみを正解とせず、友情、信念、決別、国家への反逆など、複数の選択肢が同等の重みを持つ。
また、提示される選択肢は「どれかを必ず選ぶ」だけではなく、あえて選ばない/保留する/拒否するといった態度そのものも選択として扱い、選ばなかった可能性が物語に影を落とす構造を意識している。性別・恋愛指向・出生に縛られず、個人の心と価値観が尊重される物語構造を目指している。
舞台には、身分や魔力資格が進路を規定しやすい封建的な制度を置き、個人の意思が“正しさ”や“秩序”に回収されやすい環境をつくった。その中で描きたいのは、「正義」が必ずしも個人の救済にならない構造、そして“誰かを救う選択”が別の誰かを傷つけ得るという現実だ。主人公たちは、管理された秩序の中でもなお「自分自身の心で光を選び取ろうとする」──その姿を主題に据えた。
また、キャラクターと思想は強く結び付けている。
国家肯定・反体制・中立といった立場が自然に対立し、誰かを選ぶことが必ず別の誰かを選ばないことになる関係性を重視した。特に、双子主人公エミリー&エミールと、反体制側のルフス&エーデラは、同じ孤児という出発点を持ちながらも「選択できたかどうか」によって分岐した存在として対比的に配置している。
血の繋がる家族と血の繋がらない家族、
対話を選ぶ者と従属によって生き延びた者、
救いを志す者と復讐・破壊へ向かう者。
彼らの差異を通して、正しさではなく“選択の背景”に目を向ける語りを意識した。
寺澤志織
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