名馬の蹄跡
Hoofprints of Great Racehorses
グラフィックデザインコース 工藤 真白 (Mashiro Kudo)
縦置き27インチモニター+木製額装、紐・テンキー操作。Raspberry Pi制御/A6惹句集(上中下3冊)。
『名馬の蹄跡(あしあと)』は、1984〜2025年の競馬史を、血統・レース・称号といった複数の接点から辿り直す映像/書籍作品です。1984年は競馬史の節目として据え、制作年である2025年までを一続きの時間として扱いました。記録は塗り替えられ、新しい主役が生まれるほど、過去の名馬は“過去”として語られにくくなっていきます。けれど競馬はブラッドスポーツであり、いま走る一頭の背後には、先達の走りと血が折り重なっています。本作は忘れられていく蹄跡をもう一度拾い上げ、つながりの中で“確かにここにいた”を見える形にすることを目的にしました。完璧ではなかったかもしれない、優駿ではなかったかもしれない。それでも人に夢を見せる馬は、いつの時代も名馬である。そんな名馬を記憶するための作品です。ひとつの馬を点として並べるのではなく、前後の関係や影響までを含めて見渡すことで、競馬という文化の厚みを残します。
展示の中心は、縦置きモニターを額縁のように仕立てた映像立体作品です。鑑賞者の操作でページをめくるように進み、カテゴリ→一頭→次の一頭へと移ります。カテゴリは、種牡馬の産駒、名レースの勝利馬、三冠馬・年度代表馬など、異なる入口を用意しました。画面には馬名、5代血統、惹句(キャッチコピー)、そしてカテゴリごとに意味を持つ数字が統一した設計で現れます。数字はやがて幾何学的に変化し、ベールのように重なって、その馬が背負い続けるものとして表現しました。VHS風の質感やライトの点滅で時代の距離を、スポットライトで一頭の主役性を示し、色は勝負服の配色を手がかりに切り替えて、馬ごとの固有の色として残ることを狙っています。同じ形式の反復は、アーカイブの棚のように働き、比較するほど“つながり”が立ち上がります。
併置する惹句集は、映像で数秒だけ灯る言葉を一頁ごとに定着させる本です。余計な情報を削ぎ、言葉に集中できる構成にしました。収録数が多いため上・中・下の三冊に分けています。カテゴリ説明や収録の見取り図を添え、競馬を知らない人の入口にもなります。映像と書籍を往復しながら、名や記録だけでなく、その背後の系譜や物語までを手元に残す体験を提案します。
作品正面:木製額装の縦置きモニター。紐操作で次の一頭へ進む映像立体作品。
側面(紐):側面の紐。引くたびに次の馬(物語)へ画面が切り替わる。
テンキー:番号入力で任意の馬へジャンプし、惹句集と映像を往復できる。
書籍正面:惹句集(上・中・下)。映像で瞬く一文を全頭分まとめた書籍作品。
映像抜粋(カット割り):数字・馬名・血統・惹句が現れる構成の抜粋。
書籍内容抜粋:1頁1頭。キャッチコピーに集中できる余白と情報設計。
映像データ(フル):起動〜カテゴリ〜各馬、紐操作で進む全体の流れを収録。
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工藤 真白 Mashiro Kudo
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