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大蛇がいること ― 船橋の伝統行事「辻切り」の魅力探訪

アートライティングコース 岡田 順子

 地域を守る大蛇がいると聞くと、どのような姿を想像しますか。農耕儀礼と言われたら、田畑が一面に広がる農村風景が思い浮かびませんか。自分が普段暮らしているまちで、昔話に出てきそうな伝統行事が行われていると知ったときはとても驚きました。
 船橋市は東京に比較的近いこともあって宅地化が進んでいます。一方、小松菜や梨が自慢の特産品で農業も盛んです。「辻切り」は中野木にある農家が総出で、毎年初午の日に豊作を祈願して行われる伝統行事です。かつて一面に広がっていた田畑は減少の一途にあり、住宅密集地になりつつある地域に、むかしから代々続く農家があって、今なお農業に関わる年中行事が行われていることに希少性を感じます。その行事の主役となるのが稲藁で編上げられた長さ5mを超える大蛇で、素朴ながらとても魅力的な存在です。
 伝統行事をそのままの形で伝承していくことは容易なことではありません。この行事を多くの人に知ってもらうことが伝承に直接資するわけではありませんが、この大蛇の雄姿を存分に伝えたい。また、その魅力を一緒に探訪していきたい。その姿を想像して実際に見てみたいと思っていただけたなら、これほどうれしいことはありません。

岡田 順子

アートライティングコース

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