アートライティングコース 木下 さおり
石川県の能登上布は、落ち着いた色合いの中に端正な幾何学模様が緻密に織り出されており、その風合いは「蝉の羽のような透け感、光沢感、張り感、軽やかさ」と表現され、独自の美しさを持つ。昭和初期の麻織物最盛期には日本一の生産高を誇ったが、戦後の着物需要の減少・洋服の普及にともない縮小していき、現在の織元はたった一軒を残すのみとなってしまった。能登上布唯一の織元「山崎麻織物工房」は、能登上布の存続を決意し、伝統技術を守りながら次世代へ繋ぐ新しい上布づくりにも挑戦している。山崎麻織物工房が作り出す能登上布の美しさに惹かれ、全国の百貨店や書店への出展を精力的に展開する取り組みとその思いを聞くとともに、約二千年前から麻織物の機織り技術を継承してきた能登の地にも足を運び、ものづくりの現場である工房を訪ねた。伝統工芸品のものづくりの継承の難しさや課題、取り組む人々の愛と情熱に向き合った体験を綴る。
能登上布、神代から未来へ継がれる日本の美
木下 さおり
アートライティングコース
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