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もがく

文芸コース 藤原恵 (フジワラメグ)

 天使の羽を三百円で買った。それはリュックのように背負って使う。粘着が弱くて羽はほとんど抜け落ちてしまった。それでも、まだ捨てずに残している。
 昼休みは手作りの双六でよく遊んだ。未だに連絡を取り合っている高校の友達は数人だけ。二十五歳、集まってするのは双六ではなく結婚の話ばかりだ。五人のうち二人が結婚した。私はまだ二十五歳で、友達にはもう二十五歳。大人はある程度幸福を得られる方法が決まっているらしい。私はまだ自分の人生に満足していない。人生に説得力がない。どこまで生きても何をしても、「人生はそんなもんだ」とどこか諦めていた。諦めるようにしていた。一生懸命生きてもうまくいかないことがあるなら、サボって生きたほうがいい。集大成の卒業研究も身が入らない。サボっても書ける、得意なはずの文章がとうとう苦手になった。
「人生はつまらなくない。退屈している暇はないですよ」
 野口先生の言葉でつまらなくない理由を探すようになる。
 暇になると生きている意味を探して悩む。私はまだ子供で、大人のふりができていない。母は私の寝るときの姿が赤ちゃんの頃から変わらないと、時折ベッドを覗いては安堵する。人生は、大人は、つまらなくない。それを知った。私は私の資質と向き合って、この先を生きていく。

藤原恵 フジワラメグ

文芸コース

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髪が白くて背が高い。

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