本文へ移動

芸術学コース 秋山 寛

 15年以上も前に見た日本画の作者が忘れられた画家となっていることを知り、その理由を調べ始めた。作者である佐竹永湖は谷文晁の孫弟子にあたり、幕末から明治期にかけて活躍した。文晁から永湖の師である佐竹永海へと伝わる南北合派の技法を守り、江戸時代の伝統的な描法を近代へ伝えた旧派の画家である。
 明治期は絵画に限らず美術の世界で大きな激動期であった。各種団体が創立し、解体、再編成され、終盤には文展、非文展の展覧会が開催される。明治10年に開催された第1回内国勧業博覧会を端緒に、書画会の世界は段々姿を消し、展覧会方式も変化していくにつれ、絵画の形態も額装へと変わっていく。新派の作家は洋画表現を取り入れるなど日本画の改革を行い展覧会で活躍していく。一方、旧派の画家も伝統的な描法に固執するだけではなく、琳派の表現方法を取り入れ、かつ南画の表現へと模索していく。このような状況下で佐竹永湖は伝統的な表現方法を守り、旧派の中でも要石的存在として孤高を保持していく。
 再発見された作品の検証を通して、明治期東京画壇、日本画旧派の一様相を描くことを心掛けた。


千葉県

旧派の画人・佐竹永湖

秋山 寛

芸術学コース

このコースのその他作品