2013年8月29日
ニュース
京都府舞鶴市布敷地区に伝わる仏像の修復⑥
文化財保存修復演習Ⅰでは、京都府舞鶴市布敷地区の弥勒堂と文殊堂に伝わる仏像2躰をお預かりして仏像の修復技術を学んでいます。
今回は、仏像の塗膜断面観察を行いました。
まず剥落した塗膜を用いてプレパラートを作製しました。
撮影した漆塗膜断面の写真がこちらになります。
下から下地層があり、最上層が漆の層です。
偏光板を通して撮影した写真がこちらになります。
漆層は暗くて見えず下地層は光ってみえます。
下地層に見える水平方向に糸のように見えるのが貝殻胡粉の特徴です。
このことより下地層には胡粉が含まれて可能性があることがわかりました。
次に走査型電子顕微鏡で観察を行いました。
電子顕微鏡で撮影した写真がこちらになります。
上層に薄く、白く反射しているのが金箔層です。
金箔層付近を拡大した写真です。
下地層、金箔層について成分分析を行いました。
下地層の分析結果がこちらになります。
Ca(カルシウム)が検出され、これは胡粉下地であることが確実になりました。
金箔層の分析結果がこちらになります。
Au(金)が検出され、金があることがわかりました。
以上が今回の観察で明らかになったことです。
2013年8月23日
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京都府舞鶴市布敷地区に伝わる仏像の修復⑤~2012年7月12日~
文化財保存修復演習Ⅰでは京都府舞鶴市布敷地区の弥勒堂と文殊堂に伝わる
仏像2躰をお預かりして仏像の修復技術を学んでいます。
2012年7月12日はその授業の6回目でした。
1.如来の台座
授業外の時間で作業していただいた台座と框です。
埃を払い、漆を塗っていただききれいになりました。
光背の軸棒は完成させることができましたので組み立ててみました。
仏像と光背を合わせると完成したときの様子が見えてきます。
枘の部分もしっかり機能しています。
2.如来
右手を補う作業も進みました。
山崎先生に形の調整をしていただき取り付ける作業に移ります。
彫った手に手首分の部材を足します。
手首の形に整え、竹の串で仏像、手首、仏手の3つをつなげます。
今回はつなげるところまでには至りませんでした。
3.文殊菩薩
解体し、クリーニングした文殊菩薩の接着を行いました。
足の部材と胴体の部材の接着になります。
框の接着と同様にニカワを用いて接着しました。
接着後の様子です。
接着後、両部材の間に隙間があったのでそこを補うことになりました。
腹部の衣文と合わせてヒノキ材で彫る作業をしました。
以上が7月12日までの進行状況でした。
授業時間での作業は以上になります。
今後の作業については授業時間外での作業になります。
次回の授業では、仏像の塗膜断面観察を行います。
2013年8月22日
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京都府舞鶴市布敷地区に伝わる仏像の修復④-2012年6月28日ー
文化財保存修復演習Ⅰでは京都府舞鶴市布敷地区の弥勒堂と文殊堂に伝わる
仏像2躰をお預かりして仏像の修復技術を学んでいます。
2012年6月28日はその授業の5回目でした。
各々担当に分かれての作業が多くなってきました。
如来の光背の軸棒を新しく補うために彫ることになりました。
元の軸棒は蟻枘の部分が擦り切れて機能しなくなっています。このため光背がうまく立ちません。
形を確認しながら彫り進めていきます。
これは如来台座の框の作業です。
前回の接着時に補たヒノキ材の余分を除去し、砥粉と漆と水を混ぜた
錆を授業外の時間に塗っておきました。
授業時間ではその上からテレピン油を混ぜた漆を塗りました。
トレース作業も仕上げに移っていきます。
立体的なところ、写真からは判断が難しい具体的なところは実物を参考にしながら描きました。
山崎先生のご指導をいただきながら彫り進めました。
前回同様、彫りやすい桐材を用いて形を確認します。
如来は右手も欠損しているのでそれを補うために彫る作業も行いました。
のこっている左手の形を参照にしながら形を決めます。
江戸時代の仏像手なので厚みの少ない仏手です。
形を決めたら彫り進めます。授業時間内には完成まで至りませんでした。
今回の作業では時間内に文殊菩薩を接着するところまで予定していました。
しかしいろいろな作業を併行して行っているうちに接着剤のニカワを熱し過ぎてしまい、
それが固まってしまいました。この接着作業は次回までにすすめておくことになりました。
以上が6月28日までの進行状況でした。
次回作業日は7月12日の予定です。
2013年8月21日
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京都府舞鶴市布敷地区に伝わる仏像の修復③ー2012年6月14日ー
文化財保存修復演習Ⅰでは京都府舞鶴市布敷地区の弥勒堂と文殊堂に伝わる
仏像2躰をお預かりして、仏像の修復技術を学んでいます。
2012年6月14日はその授業の4回目でした。
今回はまず、とれてしまっている台座の框を接着する作業をしました。
元の通りに並べ、どこをどう接着させればよいかを確認します。
接着剤にはニカワを用い、前日から30%に溶かして使えるように準備しておきました。
ドライヤーを使って框の接着させる面を温めてからニカワを塗りました。
こうすることによりニカワがすぐに固まってしまうことを防ぎます。
ある程度温まったら接着させました。
木が痩せてしまってピッタリ合わない箇所がありました。
そこはヒノキの薄い材を挟んでニカワで固定しました。
今日の框の作業はこれまででニカワが固まるのを待ちます。
前回からの続きで裳先を補うためにそれを彫刻する作業も行いました。
彫りながら何度も形を確認します。
山崎先生のご指導をいただきながら彫りました。
今回はまだ完成には至りませんでした。
班を分け、修理報告書を作成するための仏像の写真をトレースする作業も行いました。
トレースに使用した写真がこちらです。
トレーシングペーパーを使って上の写真を写しました。
以上が2012年6月14日の進捗状況です。
次回は6月28日の作業をご紹介いたします。
2013年8月20日
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京都府舞鶴市布敷地区に伝わる仏像の修復②ー2012年5月31日ー
2012年度の3回生の演習授業「文化財保存修復演習Ⅰ」では、京都府舞鶴市布敷地区の弥勒堂と文殊堂に伝わる仏像2躰を預かりして仏像の修復技術を学びました。
今回は2012年5月31日に行われた授業(3回目)の様子をご紹介します。
表層部が浮き上がって剥がれかかっている箇所をフノリを用いて仮の剥落止めをしました。
前回までの授業で解体できる箇所は解体しています。
解体したパーツごとに分かれて剥落止めを行いました。
如来の損失してしまっている裳先を彫るために裳先の形を予想して木材に描きました。
山崎先生の説明の後、全員が裳先を描きました。
今回は柔らかく彫りやすい桐材を用いました。
以上が2012年5月31日の授業の進捗状況です。