写真・映像コース

遠くは近く、近くはずっと遠くに。 3年生の学外展示「旅と文学」が12月11日まで、 河原町三条のMEDIA SHOPにて開催中!! 【文芸表現学科学生によるレポート】

違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の取り組みの現場に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。

 

文芸表現学科・3年生の出射優希です。今回は以前中間発表のようすを取材した、3年生による学外展「旅と文学」の会場へ。季節は秋から冬になり、ぐっと寒いこの頃ですが、だからこそ余計に「旅と文学」へ心惹かれます。

 


 

 

「旅と文学」2022が12月11日まで開催中

 

写真・映像コースの3年生が毎年取り組む学外展示、「旅と文学」が今年もはじまりました。会期は2022年12月6日(火)から11日(日)まで、河原町三条にあるギャラリー MEDIA SHOP にて開催されています。

 

 

 

1階と2階にわかれ、かなりボリュームのある空間。

夕方に伺ったのですが、初日からたくさんの人でにぎわっていました。

 

以前取材させていただいた中間発表では、ひとりずつプロトタイプ(試作品)を共有していたため、全体がどのような空間になるのか想像がつかないままギャラリーへ。

(「旅と文学」についての以前の記事はこちらから)

 

いざ会場に入ってみると、あらゆる時間や場所の記憶がそれぞれの作品からたちのぼっています。


今回は改めて、すべての作品が展示されている空間に立って、そして作品と向き合ってみて感じることを、記してみようと思います。

 

 

 

「干渉するからこそ生まれるおもしろさ」

 

まず1階に入ると、12点の作品が。2階には15点が並びます。

この空間にこれだけの作品を並べ、展示として成り立たせるのは相当頭を悩ます作業だったのではないかと思います。

在廊していた3年生にお話を聞いてみると、「これだけの人数が集まっているので、コミュニケーションや譲歩の仕方がむずかしかった」と言います。

 

コース内で、これまでも何度か展示やブックフェアを行ってきて、3年生になった今、個々人のこだわりがつよくなっていたからこその難しさだったようです。

 

 

それでも、「干渉するからこそ生まれるおもしろさもグループ展ならでは」とお話しされていた言葉の通り、反射の映り込みや視界に入る組み合わせから、ある作品の静けさ、または激しさがより浮かび上がっている、と感じることもありました。

 

1階にある映像と音を扱った作品は、置かれているヘッドフォンで音源を聴くことができます。

有線のヘッドフォンから音を聴いている間、自然とその作品に入り込んでいる自分が。

紐を辿ればモニターがあり、ふと気がつくと自分自身が作品の一部であるような、不思議な心地がしました。

 

写真・映像の展示だけではなく、インスタレーション作品も多く、簡単には作品と自分を隔てられないという緊張感があったように思います。

 

 

どうして旅をするのか

 

2022年に入り、これまで制限されてきた旅も少しずつできるようになってきています。

そのため、内面的な文学世界への旅だけでなく、作品の舞台となった土地や、描写された風景を想起させる場所への旅を起点に制作されている作品も少なくありません。

 

 

しかし、本を片手に旅をした学生からは、「実際に旅をする必要があるのかな?と思った」という声もありました。

文学の描き出す時代や人物の世界に入りこんで行くだけでも充分に旅になり、文学作品のなかで、登場人物が親しみを持って過ごした場所へと旅をしても、観光客気分が抜けなければ、どれだけ時間を重ねようと写真にはそれがうつってしまう、と講評などを経て考えたそうです。

 

心の遠さと近さが、物理的な距離とすれ違う

 

たしかに、作品を見ていると、心理的な「距離」について考えます。

遠くはとても近くにあり、近くは思っているよりもずっと途方もなく遠いのではないか、という感触です。

 

普段は訪れない場所・出会わない人やものと出会い撮影された写真や映像。

それらのなかには、本当はずっと近くにあった事象へと立ち返っているのではないかと思う作品もあります。

逆に、文学という内面への旅から近しいものへ向けられたまなざしが、到底触れられない・わからない・まとまらないことへと遭遇しているのではないか、という作品もありました。

 

そうした、すれ違う距離へとどう手を伸ばしていくのか、という孤独で切実な歩みを見たように思います。

作品制作の話だけではなく、私たちが生活のなかで何かを見つめようとするとき、人やものとそんな不器用なやりとりを続けてきたのかもしれません。

 

京都も本格的に冷え込んできましたが、ぜひ会場へと訪れてみてくださいね。

行くからこそ感じる「旅と文学」がきっとあるはず。

 

 

 


 

美術工芸学科 写真・映像コース

3年生学外展示「旅と文学」

会期|2022年12月6日(火)~12月11日(日)

会場|MEDIA SHOP

京都府京都市中京区河原町通三条下る大黒町44 VOXビル1F

 

★展示「旅と文学」の最新情報はこちらをご確認ください。

https://twitter.com/tabito_bungaku

 

MEDIA SHOP

 

 

取材記事の執筆者

文芸表現学科3年生

出射優希(いでい・ゆうき)

兵庫県立西宮北高校出身

 

大学2年生のときから書きはじめた、この「KUA BLOG」での美術工芸学科に関する取材記事のシリーズが、学内外で人気を博してきた。
個人で記すノンフィクション作品も含めて、地に足をつけ、ゆっくり呼吸しながら取材対象を受けとめ、言葉を深く彫り込んでいくプロセスの切実さに定評がある。
「逸脱する声 京都芸術大学美術工芸学科教員展」(2022年6月に開催)では、文芸表現学科の学生たちが23人の専任教員にインタビューした声の数々も作品として発表されたが、そのうち最多の8人へのインタビューとそのまとめを担当した。

 

 

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