- 2026年2月13日
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【クロステック】卒展の受賞作品をご紹介します!vol.2
こんにちは、クロステックデザインコースです!
2/7(土)より開催されている「2025年度 京都芸術大学卒業展 大学院修了展」のクロステックデザインコースの受賞作品を紹介します!
全部で9名がノミネートされており、今回は奨励賞を受賞した6名の作品を紹介します!
【奨励賞】鈴木 希さん(大阪府立枚方高等学校出身)
作品名:
サボる時計
作品概要:
人が見ているときは時刻を表示し、誰も見ていないときは時刻を表示しない時計、『サボる時計』。効率や正確さの象徴である時計を、あえて“怠ける存在”として再定義することで、現代人が抱える緊張やプレッシャーを緩和することを試みている。
制作の背景:
コスパやタイパが重要視される現代。いつしか私たちは、効率的である必要のないはずの「休息」や「余白」までも、タイパを求めるようになってしまいました。時計もそうです。誰も見ていないときも正確な時間を表示し続け、いつでも、どんなときでも時刻を確認できる存在。時刻を示すことは時計の「仕事」です。でも、誰にも見られていないときでさえずっと働き続けているなんて、あまりにも真面目すぎて、このままだと時計が過労死してしまう。そこで、そんな「真面目すぎる時計」を、サボらせることにしました。
こだわりのポイント:
この時計の振る舞いには、トムとジェリーやスポンジ・ボブといったカートゥーン特有の誇張表現を取り入れ、「慌てふためいて時刻を表示しようとする」動きを特に工夫しました。誰かが時刻を知ろうと時計を見たとき、効率だけを求めるなら、顔を検知した瞬間に一瞬で表示すれば十分ですが、あえて「慌てる」というキャラクター性を与えました。コスパやタイパが重視される現代において、この時計は一見「役に立たない」存在かもしれません。
ですが、あらゆるものが最適化される社会の中で、サボり、慌てる。そんな真面目ではない振る舞いが、
・「完璧でないこと」を必要以上にデメリットと捉えないこと・サボっていいときにサボることが、否定されないこと
そんな未来につながってほしいと考え、細部までこだわりました。
ひとこと:
この4年間を振り返ると、私がつくってきたものは、「日常の中にある、当たり前になってしまった存在」に目を向けたものでした。
【電車通学・通勤】✕【亀】【ピクトグラム】✕【重力】
もう誰も、あまり意識しなくなったものを題材に、派手な変化ではなく、少しだけ“いたずら”のような変化を加える。そんなちょっとした変化が、当たり前だった日常に、少しのワクワクを生み出せたら。そう思いながら制作してきました。「ワクワクしたい、ワクワクさせたい」その想いは、4年間ずっと変わらない私のモットーです。ぜひ、『サボる時計』の体験を楽しんでいただけたら嬉しいです。
【奨励賞】森田 韻生さん
作品名:
2025年、世界を隔てる壁の写真アーカイブ
作品概要:
通信と物流が距離を縮めたはずの現代に、なぜ壁は増殖するのか。この矛盾を世界各地の壁を実際に自分の足で訪ねた。実寸プリントは壁の物理的な存在感を、写真集は壁の向こう側にある文脈を伝える。グローバル化と分断が同時進行する現代の矛盾を可視化する。
制作の背景:
NHKのドキュメンタリー番組で壁の特集を見たのがきっかけです。壁はどこに、誰の手によって作られ、そして壊されるのか。日本という島国で育った僕には、人を隔てる壁というものに馴染みがなかったこともあり、興味を抱くようになったのがこの制作のはじまりです。
こだわりのポイント:
ひとつは、実寸サイズのキプロスの壁の写真を展示していることです。横6.6m、高さ2.4mの解像度を出すために、約70枚もの写真を繋ぎ合わせて1枚の超高解像度データを作成し、それを9分割して印刷し、貼り合わせて制作しました。データが膨大なため大学のパソコンを駆使して作成し、印刷にも「ユポ紙」という合成紙を使用。9つに分割されたものを正確に貼り合わせる作業にも苦戦しました。もうひとつは写真集です。各写真には壁からの距離が記載してあり、その写真が壁からどれくらい離れた位置で撮られたのかがわかるようになっています。また、製本では180度に開くことができる「コデックス装」を採用したことで、写真を隅々まで見ることができるようにしました。
ひとこと:
まず最初に、卒業制作を支えてくださった先生や後輩、友達や家族へ。助けていただき本当にありがとうございました。4年間を振り返ると、最初から最後まで写真を撮り続けていました。まさか卒業作品も写真になるとは。1年前は、写真集を作るとは思ってもいなかったし、ましてや5カ国も1人で旅するとは想像もしていなかったです。何が言いたいかというと、1年で人そのものが変わることは難しいかもしれないけれど、1年あればひとつの軸(僕の場合はカメラ)を持ちながら新しい経験を積み重ねることで、人生の方向を少し傾けることはできる。そう思えるくらい、時間とお金と気持ちを注いだ作品です。ぜひ展示場所まで足を運んで、壁を体感していただけると幸いです。
【奨励賞】河原林 勇人さん(京都先端科学大学附属中学校・高等学校出身)
作品名:
映画と環境の相性について
作品概要:
映画を観る環境が鑑賞体験をどれだけ変えるのか。空間が変われば、作品との距離や記憶の残り方は予想以上に大きく変化していく。そうした体験や考察を冊子にまとめ、映画の見方を今一度立ち止まって考えるきっかけとして提示したいと考えています。
制作の背景:
私は「映画館」が大好きです。映画を映画館で観ることが最も至高であり、それは映画を作った人へのリスペクトの一つでもあると考えています。しかし近年、サブスクの普及によりスマホなどで何かをしながら観る行為が増えています。私はそれを、映画を“消化する”ように観てしまっている状態だと感じています。勿論、私もサブスクで映画は観ます。次作が気になるときや、複数回目でより深く考えたいときなどです。それでも出来るだけ初回の鑑賞は映画館でありたいと思っています。そんな中、映画館でもながら視聴でもない中間で、映画にどう真摯に向き合うかを自分自身含め改めて問い直すきっかけを提示出来たらなと思いました。
そして、個人的に言えば私が「ラ・ラ・ランド」の初回の鑑賞をどうより良いものにするかの極めて私的な研究だったのかもしれません。
こだわりのポイント:
最もこだわったのはリサーチです。この1年で映画館にて100本以上の映画を鑑賞し、週3〜4回程映画館でアルバイトをしながら、観客の動きや空気感などを観察してきました。映画館は自分の中で特別な場所だと思っていましたが、その特別性を言語化できていませんでした。感覚で「良い」と判断していたものを改めて言葉にしようとしたこと、映画館を“観る側”と“働く側”の両方から体験したことが、本作の土台になっています。そして環境選びも重要な要素です。映画と環境の相性を検証する中で大半は現実的な場所を選びつつ、一つだけ異質な環境を提示しました。それは、この1年で観たある映画の表現から着想を得て、少し逸脱した状況にも現実味を持たせられるのではないかと考えたからです。これらすべてが、私の卒業制作に込めた1年の集積です。
ひとこと:
まず、名前を挙げるときりがないため省略しますが、制作に関わってくださったすべての方に感謝しています。本当にありがとうございました。この4年間を振り返ると、1〜3年はテクノロジー系、特に3D分野に挑戦してきました。そして最後の1年、卒業制作ではこれまで選んでこなかった領域を少しだけ踏み込んだ気がします。振り返れば、一貫していたのは「新しいことに手を出し続ける姿勢」だったのだと思います。私は基本的に“広く浅く”で生きています。その生き方が楽しいからそうしてきました。芸術大学という環境でその広さは拡張しましたが、その分、納期のだるさ、追われる責任感が非常に辛く感じました。今後本格的な制作はやらないと思います。ただ、この卒業制作の満足も物足りなさも含めて、これが芸術大学生としての自分だったなと思います。
【奨励賞】建木 紫邑さん(修文学院高等学校出身)
作品名:
Mirror, Mirrorーコンプレックスについての対話
作品概要:
パーティーメイク(普段よりも濃いメイク)を通した対話を記録した。たわいもない会話の中で垣間見える価値観や、自分らしさと社会的な理想とのギャップを抽出した。多様性が進む現代でも払拭できずにいるコンプレックスとの折り合いの付け方を考える。
制作の背景:
コンプレックスを自身が抱えていたから、人との対話をメイクを通してしたかったからです。私はニキビ肌と歯科矯正をしていて受け口がコンプレックスでした。受け口は手術で治ったけれどコンプレックスは残ったままで、どうしようもなさを感じました。このことからコンプレックスは一つ解消しても終わるものではなく、付き合い方の問題なのではないかと考えるようになりました。人とコンプレックスについて共有することはあまりありません。いろんな人とのパーティーメイク(派手なメイク)をしながらの対話をすることで無意識下でのメイクに対する違和感やコンプレックスの捉え方について会話をし記録したいと考えました。
こだわりのポイント:
会話を撮った映像そのままで見せないということがこだわりです。白雪姫のお話に出てくる鏡をイメージして展示を構成しています。真ん中の鏡には一緒にお話しした方のパーティーメイク(派手なメイク)の姿でコンプレックスやメイクに関する話の抜き出した部分を再演しています。喋りに合わせて口元を動かすリップシンクという手法を用いています。左は実際の対話が行われていた状況の映像です。右はコンプレックスの部分を切り抜いた映像です。映像それぞれは鏡の枠のサイズに切り抜いており、ピッタリの大きさでプロジェクター投影できるようにミリ単位で調整しています。後輩の八尾小百合さんが協力をしてくれてこの形にすることができました。
ひとこと:
支えてくださった白石先生、八尾さん、撮影協力してくださった皆様、家族、同期のみんな、手伝ってくれた後輩、話を聞いてくれた友人、相談に乗ってくださった方々、見に来てくださった皆様、多方面に迷惑をおかけしましたがご協力やアドバイス、応援の言葉をいただき、とても感謝しております。本当にありがとうございます。自分1人ではできなかったことを実現することができ、卒業制作として満足のいく展示を作ることができました。大学生活で得てきた人との繋がりや経験した新しい経験、付けてきた技術を最大限に見せることができたのではないかと感じています。
【奨励賞】伊澤 樺乃さん

作品名:
Archidol ― 日本女性アイドル衣装史
作品概要:
日本の女性アイドルの衣装を、昭和・平成・令和の3つの時代に分けてアーカイブする。本書に収められたかけがえのない衣装には、それぞれの時代の空気や、偶像として求められてきた姿が刻まれている。消費社会のなかで移り変わる女性アイドルと、その表象を形づくってきた衣装を記録し、読み手の記憶に留めることを試みる。
制作の背景:
2025年に、好きなアイドルの活動終了やグループの大幅な路線変更を経験したことです。移り変わりの激しい業界の中で生き残るために独自性が失われていく姿、そして活動最後の公演すら映像化されない現実に虚無感を覚えました。ですが、そのアイドルの「消えていく思い出も、思い出すたびに最新なる」という言葉を受け、作品に残したいなと考えました。
また、グループの衣装デザインを手がけるアイドルからもインスピレーションを受けました。衣装へのこだわりが記された投稿が、SNSの仕様によって次第に埋もれてしまうことを惜しく思い、アイドル衣装の要素を凝縮した1冊の本を作りたいと考え、このテーマに決めました。
こだわりのポイント:
「消費への抗い」をテーマに、文章を書いたページにこだわりました。トピックには昭和から令和まで受け継がれる「永遠」の象徴を選択し、メンバーカラー文化、自己紹介ソング、卒業ドレスなどを起源から調べたことで自分自身もアイドル文化により深く触れるきっかけにもなりました。 また、ハロー!プロジェクトの日替わり生写真(メンバーの手書き文字やイラスト入りの人気グッズ)文化を参考に、手書き文字を取り入れ、愛が伝わるようなページづくりを意識しました。
ひとこと:
実際に展示を見た方々が「懐かしい」「この衣装が好きだった」と感想を伝えてくださったり、誰かの記憶を呼び起こす瞬間に立ち会えた時、このテーマを選んで良かったと感じました。アイドルを追い続けた学生生活で、好きだからこそ卒業制作のテーマとして扱っていいのか迷うこともありましたが、好きを貫き、制作を通して少し自信がついたような気がします。ご指導いただいた先生方、助けてくれたゼミの方々、掲載許可をくださった事務所の皆様、そして何よりもアイドルの皆様に心より感謝申し上げます。
【奨励賞】齊藤 美玖里さん(飛鳥未来高等学校出身)
作品名:
Underwater Discovery
水族館でできる観察の練習
作品概要:
見るだけで終わらない、能動的な水族館体験を「観察の練習」として考案し、これを8種類のファシリテーションカードとして制作。自分で観察方法を選び取ることで水族館での行動意識に変化を促し、簡単に観察の練習を再現できるように制作した体験型展示。
制作の背景:
私自身、幼い頃から水族館が身近にあり、尚且つ大好きなのもあって、テーマを水族館に選びました。まずは、「現状把握のためのフィールドリサーチや!」と思い、水族館に通っていました。その中で、来場者が生き物を流し見してしまうことにとても悔しい思いをしたのを覚えています。もちろん、それも一つの見方ではあるんですがね。
目の前にこんなに素敵な生き物たちがいるのに、「ふーん。」で終わらせてたまるか!と感じ、この作品を作ったのがはじまりです。
こだわりのポイント:
リサーチや企業へのインタビューを進めていく中で、どの水族館の展示も取り組みもいい部分がたくさんあり、好きが故に甲乙付け難く…そのため、リニューアルさせる方向で考えるよりも、もっと発展させていくことに意識を向けて、今回のワークショップを作りました。ワークショップはどれもどの水族館に行っても出来る内容となっています。ぜひ、ワークショップを通して水族館をもっと濃く楽しんでもらえたらと思っています。あと、デザインも目を惹けるよう、とてもこだわったので「かわいい!」と心が動かせていたら嬉しいです。
ひとこと:
奨励賞をいただけたこと、本当に嬉しく思います。私の制作に関わってくださった全ての方々のおかげです。本当にありがとうございます。今回の卒業制作展では、受賞者の作品以外にも、体温が+1℃上がるような心踊る作品がたくさんあります!ぜひお越しください😌
さて、4年間を振り返ると、本当にあっという間だったなと思います。とても視野が広がる4年間でした。「人と人をつなぐ。そんなデザインが作りたい。」この思いで、入学を決意しました。ちょっとでも成長できていたらいいな。______私のデザインを通して、コミュニケーションが生まれ、発展していく。
これから社会人になりますが、賞取れたから終わり!と満足するのではなく、この思いを忘れずに、真摯にひとつひとつの企画を愛しながら取り組んでいきたいと思います。
制作の背景やこだわりを知ってから作品を見ると、より深く楽しんでいただけると思います。
クロステックデザインコースの作品は望天館1階に展示されていますので、学生の集大成となる作品をぜひ見に来てくださいね、ご来場お待ちしております🌼
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【展覧会名】
クロステックデザインコース 2025年度 卒業展
【ごあいさつ】
クロステックデザインコースは、2018年の開設以来、「デザイン」「テクノロジー」「ビジネス」という三つの領域を横断し、社会の課題に対して新たな価値を提案することを目指してきました。今回、5期生となる卒業生たちが、その探求の成果をここに発表いたします。
私たちの学びの特徴は、特定のメディウムや領域に縛られない「横断的な思考」にあります。しかし、自由であることは、自らの研究の道のりをゼロから切り拓かねばならない困難さとも隣り合わせです。指標のない地図を手に、失敗を恐れず試行錯誤を繰り返すなかで、学生たちは「今、社会に何が必要か」という問いと真摯に向き合ってきました。
本展で並ぶ作品群には、既存の枠組みに捉われない自由な発想と、それを現実の社会へと繋げようとする力強い意志が込められています。 変化の激しい時代において、彼らがどのような眼差しで未来を捉え、どのように応答したのか。その挑戦の軌跡をご覧いただければ幸いです。
【会場】
京都芸術大学 瓜生山キャンパス 望天館1F
【会期】
2026年2月7日(土)~2月8日(日)、 2月10日(火)~2月15日(日)
10:00~17:00(入場受付は16:30まで)
休館日 2026年2月9日(月)
入場無料
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\\\『卒業展/大学院修了展×オープンキャンパス』のお知らせ ///
1年間で最も規模の大きな作品展である、卒業展/大学院修了展と同時開催のオープンキャンパスが2/14(土)、15(日)に開催されます!
コース別の見学ツアーに参加すると、コースの教員と制作者の学生に作品の紹介をしてもらえます!解説を聞きながら展示を巡って、コースや卒業制作展の理解を深めましょう!
クロステックデザインコースの作品も見学ツアーで紹介しますので、ぜひお申込みください🌟
『卒業制作展×オープンキャンパス』の詳細・申し込みはこちら👇
\\\「 2025年度 京都芸術大学 卒業展/大学院修了展」のお知らせ ///
2026年 2月7日(土)~2月15日(日)まで「2025年度 京都芸術大学 卒業展/大学院修了展」を開催します!
今年度卒業する4回生や院生の卒業制作や研究成果がキャンパス全体に展示されます。クロステックデザインコースの作品は望天館1階・望天館屋上に並ぶ予定です。
ご来場お待ちしております🌼
2025年度「京都芸術大学 卒業展/大学院修了展」
会期:2026年 2月7日(土)~ 2月8日(日)、2月10日(火)~ 2月15日(日)10:00~17:00(入場受付は16:30まで)
会場:京都芸術大学 瓜生山キャンパス 〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116
入退場:入退場自由(予約不要)・入場無料
2025年度「京都芸術大学 卒業展/大学院修了展」の詳細はこちら👇から
https://www.kyoto-art.ac.jp/sotsuten2025/
クロステックデザインコースの最新カリキュラムや進路について紹介|先生によるコース紹介動画2023
クロステックデザインコース 在学生へのインタビュー
京都芸術大学クロステックデザインコース公式ページに、授業内容の詳細を掲載中!
クロステックデザインコースでの日々の授業風景、イベント等はtwitterとInstagramで日々更新中です。ぜひチェックしてみてください!













