こども芸術大学

挑戦2(板のぼりより、母の気づき)

9月のお誕生会で友だちのS君が板のぼりを披露した。
最初は出来なかったが懸命に挑戦し、皆の声援もあり無事成功。
その姿を見守っていた、息子Tは「お昼からぼくも板のぼりする!」とやる気になっていた。
そして迎えた午後。

年長さんが次々と板上りに成功していく中、Tはなかなか上手くいかない。
でも、彼の中に「出来ない」というイメージはなかったらしく

不屈の精神で何度も何度も挑戦した。
板にぶち当たって痛い思いをしてもTは諦めなかった。
そのおかげで一度は成功!

でもその後は何度挑戦しても出来なかった。

 

皆が違う遊びに移っていく中でTはずっとやり続けた。

でも、ついに悔しくて泣き始める。
真っ赤になりながら号泣する姿を見て私も涙がこみ上げてきて
彼を抱きしめながら、ついには涙をこらえられず一緒に泣いた。

 

滲み出る汗が努力の証拠。
不器用かもしれないけど、こんなに一生懸命に物事に向き合える彼を誇りに思った。

そういえば、今まで、子どもの成長を感じ涙ぐむ事やうれし泣きをした事はあったけど、

こんな涙を流した事はなかったかもしれない。

それがどんな感情かと言われたら説明がつかないけれど

「寄り添う」ってこういう事なんだな・・・と改めて感じた。

 

泣き止んだ彼は再び挑戦し、沢山の人達に見守られて

最後の最後に板上り成功!

この瞬間に立ち会えた事の幸せを感じると共に
私以外の人達が彼の事を信じ、

一緒に付き合ってくれるというこの環境の有り難さを感じずにはいられなかった。

 

粘り強く付き合ってくれる人達がいたからこそ「出来ないまま」にはならなかった。
子どもはこうやって伸びていく。

彼のやり遂げる過程を見守れた事で、

私は「うちの子だけ出来ない」という事に焦点を合わせる事は一度もなかったし

そうやって信じる事が出来たからこそ、出来た時の笑顔を心の底から一緒に喜べた。
そして彼は「諦めない事」「自分の中にわき上がる感情との向き合い方」を体で感じたと思う。

出来る事が問題なのではないと、心底感じたエピソードです。

 

(年長母:H・O 「10月こども芸大だより」より)

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