歴史遺産コース 【同窓会賞】寺澤 典子
正倉院などに残る、古文書や経巻には、豆糊が用いられていたとみられている。豆糊とは、大豆を原料とする接着剤であり、主に奈良時代から平安時代にかけ、料紙の継ぎや装幀に用いられていたとされるが、現在では絶えてしまった糊である。この「豆糊」を研究テーマとしたのは、極めて細い糊代幅で糊離れすることなく、現在までその形態を維持することができた糊が、なぜ絶えてしまったのかという疑問からであった。
研究にあたっては、貴重な古典籍類の調査はほぼ不可能なことから、先行研究や史料をひたすら集め、読み、当時の状況を再構築し、検証することによって答えに迫ろうと試みた。しかし研究を進めれば、豆糊に関する資料は少なく、当時の状況が窺える正倉院文書は膨大であり、干草の中から針を探すような作業であった。答えらしい答えも得られず、このまま提出かと思われたが、諦めず視点を変えることで、一つの結論を導き出すことができた。今後も更に研究を進めていきたい。
最後に、指導して下さった先生方、実験の機会を与えてくださった本学通学部の大林賢太郎先生、史料探しにご尽力頂いた福井県文書館の皆様に、この場を借り感謝申し上げます。
古典籍類に用いられた豆糊の消長についての考察
【同窓会賞】寺澤 典子
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