曖昧な現実
夢と現実の狭間
イラストレーションコース 片山 純 (tadaima)
デジタル絵画
本作品は、情報過多な現代社会において、視覚的に安らぎを得られる「オアシス」のような体験を提示することを目的とした卒業制作である。日常的に大量の情報や刺激に囲まれて生活する中で、無意識のうちに蓄積される疲労や不安に対し、イラストレーションを通して一時的に立ち止まるための空間を表現した。
制作にあたっては、Dreamcore・Liminalcore・Poolcoreといったインターネット発の美的感覚を軸に、現実と非現実の境界が曖昧になる感覚を重視している。明確な物語を提示するのではなく、鑑賞者それぞれの記憶や感情に委ねる構成とすることで、懐かしさや安心感、不安が同時に立ち上がるような世界観を目指した。
その基底には、自身が三保の松原で体験した星空の記憶がある。夜の静かな風景の中で感じた、時間や場所の感覚が薄れていく感覚は、本制作における空気感や色彩設計の参考となっている。ただし、特定の体験を前面に押し出すのではなく、あくまで作品全体を支える感覚的な下地として取り入れている点に特徴がある。
また、本制作はビジュアルコミュニケーションを前提とし、「見てもらうこと」を強く意識している。サムネイル表示や一目見た際にも印象が残るよう、構図や配色、明暗設計に工夫を施し、直感的に世界観が伝わる表現を追求した。本作品を通して、鑑賞者が日常から少し距離を置き、自身の内面と向き合うきっかけとなることを意図している。
片山 純 tadaima
イラストレーションコース
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