グリム童話のダークな魅力を伝えるイラストレーション
イラストレーションコース 近藤優帆 (なぎさ・ねむねむ)
コース奨励賞
子供向けの絵本やアニメーションで世界的に知られるグリム童話は、そのファンシーなイメージとは結びつかないような残酷な描写やエロティックな暗喩が秘められていることが、「怖いグリム童話」としてさまざまなメディアで取り上げられています。
以前からこうしたグリム童話の“裏の部分”に興味を惹かれていた私は、このダークな要素に焦点を当てた作品を制作することで、グリム童話と自分自身のイラストレーションの魅力を引き出すことができるのではないかと考え、卒業制作のテーマを「グリム童話のダークな魅力を伝えるイラストレーション」に設定しました。
また、卒業制作では、自身の得意分野である写実表現と、レトロ、ノスタルジックと表現できるような雰囲気ある画風を合わせた作品を制作したいと考えていたため、「欧米の大衆雑誌で連載されるグリム童話を主題にした物語が単行本化された際の表紙」という裏テーマを設定し、物語に大衆雑誌らしい俗っぽい改変を行うことで、レトロな画風と物語のダークな一面を際立たせることにしました。
今回、取り上げた作品は『赤ずきん』と『白雪姫』です。
『赤ずきん』は、若い女性は悪い男性に狙われやすいから気をつけろという教訓が込められた物語です。初めはオオカミに騙されてしまい食べられてしまった赤ずきんですが、オオカミの腹から救出されたあとで、石を腹に詰め込み、喉の渇きから水を欲したオオカミが井戸に落ちるように仕向けます。そうした赤ずきんの秘められた力強さをサディスティックな一面と解釈し、お話の結末を「悪いオオカミを赤ずきんがしつける」というものに改変することで、オオカミと赤ずきんの力関係の逆転を描きました。ここでは、お話の後日談として、赤ずきんがオオカミを連れてかつて出会った森の花畑へと散歩に連れてきた場面を描いています。
『白雪姫』では、原作から大きな改変を行わず、美のためならば殺人をも厭わない継母の執着と狂気に焦点を当てました。毒リンゴで義娘を殺すことで世界一の美女の座を奪還し喜ぶ継母と、毒が回って意識を失いかけている白雪姫の表情を象徴的に描き、ホラーテイストに仕上げました。また、人物の表情に加えて、枠の装飾に継母が殺しに使ったアイテムと手に入れて食した心臓と肺を描くことで、継母の白雪姫殺しへの執念の深さを表現しました。
タイトル:「悪い子には躾が必要」
タイトル:「一番美しい顔」
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