少女とは
独自の少女性を探求する3つの鉛筆画
イラストレーションコース 河野紗也加 (二織万舞)
素材:鉛筆/ケントボード
サイズ:210mm×297mm
本制作では、「少女」というモチーフが持つ既存の魅力に頼った過去の制作を内省し、独自の少女像を発見・創造することに挑戦した。「少女とは」をテーマに以下の3枚の鉛筆画を制作した。
⑴少女とは息をする肖像
服やアクセサリー、おしゃれな髪型に頼らず、顔の造形という観点のみおいて、私なりの少女像を表現することを試みた作品である。描画では、まつげの生え際や眉毛の毛流れ、唇のしわなど、普段は注視しない顔の特徴を丁寧に描画することを意識しており、一般的にオブラートに包まれている少女の印象を露骨に可視化し、少女のアイデンティティは少女自身に帰着することを伝えたいと考えた。また、少女の造形は、自分の顔も観察しながらあえて左右非対称に描いている。この作品と対峙することで、少女のえぐみや歪さを真正面で向き合って欲しいと考えている。
⑵少女とは髪
肋骨と脊髄を髪に見立て、少女が自分自身で結んだはずの髪によって苦しめられる様子を描いた作品である。髪に注目した理由は、頑固でくせの強い自分の髪に苦労した経験から、髪は自分の一部でありながらも異なる意志を持つ存在として奇妙な魅力を感じているためである。また、私にとって少女とは、自分自身との対峙によって苦悩や憎悪を抱える存在だと考えている。このことから、少女自身の髪が少女の心身を支配されている場面を表現している。
⑶少女とは乾いた大木
ツインテールで自立する少女の大木のイラスト。自分にとっての少女を考えた時、厳かで攻撃的な大自然のようなイメージが真っ先に思い浮かんだ。このイメージは世間に浸透する可憐な少女像に対する反骨精神も一因となっていると考えられる。そのため、少女の象徴として描かれることの多いツインテールを太い2本の幹に見立てて、大木の姿をした少女を描くことで、少女の揺るぎない威厳と型にはまることへの反抗心を表現したいと考えた。幹の描画を進める中で、乾燥した木が最適なイメージだと考えた。乾きに耐えてそびえ立つ強さと、パサパサに乾いてところどころ剥げている脆さが共存している姿は、私が描く少女の多面的な魅力と一致すると考えたため、木の描写で少女性を暗示することを目指して、繊細で厚みのある制作に取り組んだ。
以上の制作を通して、少女とは「粗さや歪さが露呈するほど魅力を発揮する存在」という1つの答えを導くことができた。制作過程において、少女の表情や質感を意識しながら細部の描画を詰めていく時間がとても楽しく、構想段階よりも自分の描く少女に魅力や愛着を感じることができた。また、最終的には作者の自分が意図していなかった少女の意志や感情を、作品の方から訴えかけられるような新しい制作経験に到達することができた。この作品を通して、鑑賞者それぞれが独自の少女を思い描くきっかけになりたいと考えている。
少女とは息をする肖像
少女とは髪
少女とは乾いた大木
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