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紙フィルム映写機によるアニメーションの投影

イラストレーションコース 伊吹凜音

デジタルで制作したアニメーションを紙フィルム映写機で投影した作品です。

作品制作の目的は、紙フィルム映写機という失われた技術を現代に再生させること、体験型の鑑賞形式と作品が形に残ることに価値を見出すこと、そしてイラストやアニメーション表現が出力形式に強く左右されることを可視化するという3点です。

紙フィルム映写機は、1932年から1938年という短い期間にのみ流通した技術であり、紙という長期間の保存に適さない素材を使用していたことや戦争の激化によって、わずか数年で姿を消しました。
私は、デジタル技術の発展により表現が画一化し、発信方法そのものに作家性が求められる現代だからこそ、失われた技術を用いて作品を制作・発信することに意味があると考えました。

本作では、紙フィルムが持つ質感や、人の手で映像を動かすことで生じる不規則性に着目しています。数多くの作品がデータとして保存・消費されるデジタル社会において、こうした身体性を伴う体験にこそ価値があると判断しました。

さらに、デジタルで制作した映像が紙フィルムでどのように変化するかを示すことで、出力形式に応じた表現の選択が、イラストやアニメーション表現の幅を広げる可能性を示唆しています。

また、アニメーションを上映するためのおもちゃとして普及していた紙フィルム映写機の歴史的位置づけを踏まえ、イラスト的な見せ方とアニメーション的な見せ方を掛け合わせた静止画アニメーションという形式を選択しています。内容は、映画の予告編をイメージして制作し、馴染みの薄い紙フィルム映写機でも親しみやすく鑑賞できるよう工夫しています。

デジタルで出力した映像

紙フィルム映写機で投影した映像

伊吹凜音

イラストレーションコース

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