関(左-野生観、中-関胸中山水画、 右-都会観)
陰陽胸中山水思想
書画コース 山本 一平
素材(画仙紙、松煙墨、藍墨)
サイズ(全紙 137㎝×69.5㎝)×3枚
東洋の水墨画の精神的世界に可能性を感じる。先人たちは自然をどう見てどう描こうとしたのか、身体で自然を感じた記憶は水墨画の技芸を通じて、胸中の世界を表現している。水墨画の空間性は人間を思い出す手掛かりになる。昔の画家は”自然から学ぶ”ことを知っていた。我々の都会の生活では忘れ去られた言葉である。現代都会と自然との関係性の問題は多く起こってきている。それを調べる為に自然観察インストラクターという講座を受けてみた。その流れで京都の動物園の1匹の虎と出会うことになる。最初写真や動画を撮って観察していた。より見る為にスケッチをすることにした。枚数を重ねることで人間が忘れている記憶を思い出した。動物園の虎は”大きな猫みたい”と言う人がいる。人間の都合に合わせたキャラクター的存在になる。しかし、一瞬目を逸らした瞬間に野生的な獰猛な肉食動物の一面を垣間見える。それは人間も同じで野生的な一面があるのではないか。虎を知ることで東洋における陰と陽の世界観を感じることができた。人間側から考えるのではなく、動物側や自然側から考えることで問題の解決につながるかもしれない。その時の感覚を生かして水墨画を描いている。水墨画は人間と自然の歴史でもある。墨の特性は自己の胸中の世界を理解しやすい画材である。まとめると水墨画で描くことで”自然から学ぶ”ことを知ることになり、絵に都会と自然の関係性を含ませることで”問い”を作ることができるのではないだろうか。
それから1年後に虎は亡くなり。現在京都の動物園では動物福祉の関係で大型の猫科は飼育しない方針である。私が京都で最後に虎を描いたとも言える。その存在をのこす為に虎を描いている。現在世界では虎は絶滅危惧種に指定されている・・・
山本 一平
書画コース
水墨画と生態学をベースにものつくりを考えている。水墨画は社会、文化、生態と三つの要素をつなぎとめる技芸だと考える。それらの三要素がバランスよく機能して文化の豊かさにつながる。水墨画は東アジアの過去から現在までの文化を知ることができる。生態学は自然を感じる感性と視野が広がることにある。それらを踏まえて新しいものつくりができないか模索中。
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