徽宗帝の痩金体を放ってみた!
漢字の可能性を探る
書画コース 定方佳代子
【乾隆帝が四名巻に描き込んだ四君子(蘭・竹・菊・梅)の皿】
・直径15cm / 19cm X 9cm
・ステンドグラス用の絵の具でシール状に加工
・徽宗帝が創始した痩金体をデザイン化
書を文学部でも教育学部でもなく美大で学べるのだから、漢字を2Dの紙面に閉じ込めず3Dに放ちたいと思った。漢字を3Dに書くと様々な動きや可能性が出てくる。しかし、その試みに対する適切な評価や指導は、他では得難い。それこそが美大生の特権だと私は思う。
凸凹の皿には、漢字をステンドグラス用の絵の具でシール状に加工すれば、難なく定位置に収まる。「蘭→竹→菊→梅」の順にデザインの抽象度を段階的に高めながらも、瘦金体そのものが持つ独特の美しさを損なわないよう努めた。
提出物が2D画像なので、水墨画で培った「対の関係」や「敢えて描かない余白」の感覚がここで活きてくる。改めて「書画同源」を実感しつつ、大理石のリンゴ(文鎮)を添えて整えた。
【 乾隆四名巻=乾隆四美 】「挿入題名」(挿絵)
・大英博物館《女史箴図》顧愷之:「彤 管 芳」(蘭)
・東京国立博物館《瀟湘臥遊図》季公麟::「気呑雲夢」(竹)
・中国上海博物館《九歌図》張渥::「尽変扱妍」(菊)
・米国フーリア美術館《蜀川胜概図》季公麟:「蜀川勝概」(梅)
定方佳代子
書画コース
【皇帝の書】をテーマに履修課題を進めた。
書画 Ⅲ-1: 徽宗帝の痩金体千字文から創作、Ⅴ-1:乾隆帝の挿入題字と落款を皿に臨書、Ⅴ-2:徽宗帝・康熙帝・乾隆帝の書を比較、卒業制作1では徽宗帝の唯一の大字を臨書。卒業制作2では集大成として、乾隆帝と徽宗帝の書をデザイン領域で取り組む。①デザイン化した痩金体を凹凸皿に表現 ②乾隆四名巻の1つの挿入題名と落款を小皿に表現 ③痩金体をワイングラス25個に表現:ワイングラスの角度を変えると文字が幾重にも重なり植木鉢から森に変化する粗密が出現。ワイングラスの中を覗くと文字の表裏が異なる鏡文字となりアインシュタインのワームホールのよう。ワイングラスの中に小宇宙が出現し時空を折り返す、そんな感覚の数学的な美を痩金体が生み出す。臥遊があるのなら、ワイングラスの中に小宇宙を臥遊する感覚があっても不思議はない。私にとってこの感覚こそ書画最大の魅力である。
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