本文へ移動

日本画コース 林 美枝子

112.0 x 145.5 cm
高知麻紙、岩絵具、水干、胡粉、墨、膠

まだ桜の開花情報も届かない三月半ば、大きくねじれた桜の古木の根元に、蕾を多くつけた二本の若枝を見つけた。咲き始めていた花は、春の午後の柔らかな光に包まれていた。
桜は、いつか描きたいと思い続けてきた題材であった。その思いが、目の前の若枝との出会いによって、具体的なかたちをもちはじめた。
この若枝は、再生の象徴であると同時に、いずれ剪定される運命もあわせもっている。十一月のある日、枝は姿を消していた。
目の前の自然は、常に美しさとともに、静かな選択を重ねている。その一瞬に出会い、描くことができたことを胸に、私は心のなかでそっと呟いた。
「あの桜の美しさは、ちゃんと留めているよ」と。

林 美枝子

日本画コース

このコースのその他作品