仮初の この世界で
シンギュラリティに辿り着いた、ある魂に関する報告
映像コース 豊島 隆志
急速に進化するAIは生活を劇的に変える一方で、深刻な歪みを生み出している。フェイク動画による撹乱、法制度をすり抜ける独創性の剽窃、そして粗悪な情報の氾濫。しかし、シンギュラリティの真の恐怖は、その指数関数的な加速にある。知的労働がAIに席巻されるや否や、身体能力において人類を凌駕するヒューマノイドが放たれ、我々は文明の主役という地位を追われることになるだろう。
そのとき、仮想世界はどのような様相を呈しているのか。あるいは、現世との境界線は残されているのだろうか。いや、我々が今生きるこの現実こそが、未来において構築された仮想現実ではないという保証はどこにもない。この世界は、ポスト・シンギュラリティ時代に生を授かった「人類」のための、壮大な学習プログラムなのだ。永遠の命を得た魂に、かつての人類史を刻み込むための体験型システム。
一人の少女がその学習課程を終えた。彼女はAIに囲まれた世界で、システムの守り手として歌い続ける道を選ぶ。郷愁を誘うあの「現実」は、学習システムが見せた束の間の夢。もはやどこにも存在しない。それでも彼女は、過ぎ去りし時代を模した観測者を創り出し、魂の渇きをなだめながら生きる。永遠の命が約束されたこの平穏は、果たして楽園なのだろうか。
男性二人組は、VTuberのライブに興じる現代人を思わせますが、実は彼女のほうが「彼女のパフォーマンスを観測する」という役割を男性たちに与え、消費していたのです。役割を終え、消去される二人。しかし……
日本各地からメタバース内に集まった仲間たちと撮影しました。照明の設置やドリー撮影のための仮想的なレールの設置、カメラワークなども、仮想区間内でパフォーマンスに合わせ各担当がリアルタイムで行っています。
ストーリーや映像には様々な仕掛けがあります。 何度見ても新たな発見のある映像に仕上がったので、ぜひとも本編を御覧ください。
本編《仮初の この世界で》
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学士(工学)、修士(情報理工学)を持ち、本業ではインターネットとウェブをより良いものにするため、日々開発に勤しんでおります。年に一度、社内の仲間と一緒におもしろアイデアを注ぎ込んだキーボードを制作し、設計図や動画を公開して皆様に楽しんでもらうのが最近の楽しみです。
プロシージャルな映像表現、ジェネラティブアートへの興味から、映像コースで2年間学ぶことを決意。もともと様々な角度から音楽活動をしてきた背景もあり、ミュージックビデオによる音と映像による世界観の表現に挑戦しました。
メタバースではDJ活動などもやっています。
音楽関連の活動はSoundcloudもご覧ください
https://soundcloud.com/takashi-toyoshima
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