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Figure Out −My Ground

図と地 −具体と抽象の行き来

グラフィックデザインコース 野中 郁江

横 40cm x 縦 350cm
ポスターペーパー / UVインクジェットプリント

視座が変われば、世界が変わる。

グラフィックデザインにおける「図」と「地」の相対性は、人間社会との共通項が内包されている。誰もが自分の人生の主役(図)であり、誰かの人生の脇役(地)であること。一見、意識の焦点が当たらない「地」にも豊かな意味が存在すること。そしてその境界は絶対ではなく、あいまいで、見る人のものの見方によって変わりうること。

本作は、数千枚の断片が集まり一つの画をなす「フォトモザイク」の手法を用い、具体と抽象が入れ替わる動的な体験の実装を試みた。

素材は、スマートフォンのカメラロールに収められた雑多で具体的な過去の記録。 撮影されたその瞬間、それらは独立した意味を持つ「図」であった。しかし、物理的・時間的に距離を置いて俯瞰したとき、それらは私という存在を形作る「地」へと抽象化される。

遠目にはたしかに作者の信条が浮かび上がるが、一歩近づけば個々の写真が主張を始め、全体像は解体される。

立ち位置を変えれば、見えるものは変わる。 この普遍的な事実を、鑑賞者自身の身体的な移動を通じて体験するための装置である。

文字の例 紫の写真で作った「む」

自作スマホアプリ  ピンチ操作で情報の粒度を変えると何かが見えるときがある

信条は略すと「あたま」  頭の写真でできている

野中 郁江

グラフィックデザインコース

フリーランスのコンサルタントとして、企業の業務改革に携わる傍ら、グラフィックデザインを学ぶ。

かつて師匠から授かった「具体と抽象の階段を自在に上り下りせよ」という教えを、今も仕事と表現の指針としている。

仕事の哲学、日々の暮らし、そしてデザイン。バラバラだった過去の関心の断片が、一本の線に繋がっていく。その発見が、人生の楽しみである。

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