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文芸コース 栗田 厚子

研究への思い
 私が取り組んだ研究は、泉鏡花の『天守物語』です。泉鏡花を知っていても戯曲『天守物語』を知らないと言う方々が多いかもしれません。私が、『天守物語』をはじめて観たのは、もう四十年も前のことです。その時感じたのは、歌舞伎や新派、新劇とは違った斬新で不思議な感覚でした。
 『天守物語』の幕開きでは、時がゆっくり流れ、中盤では妖怪たちが愉快に酒盛りをし、妖女と人間との恋物語が繰り広げられる。そして、権力によって穏やかな空間が壊されていき、絶望に陥る。そして幕切れは、「神」のような人物が現われ、一気に解決に向かい、幸福が訪れる。
 その時の観客の中には、「よくわからない」と言う声も聴かれましたが、私は何とも言えない安堵を覚えました。鏡花の世界は、ただ不思議というだけではなく、鏡花の一貫した強い意思があると感じました。そして、『天守物語』には、どんなに理不尽な出来事があっても、かならず「救われる」というメッセージがあるのではないと思いました。
 約二年間、仕事の両立でしたが、上手に切り替えをしながら、充実した時間を過ごせました。



千葉県

泉鏡花「天守物語」研究
-異界で繰り広げられる物語について-

栗田 厚子

文芸コース

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