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アーティスティック・レコンキスタ

文芸コース 岸本敏和

この作品には、行政書士として長年「人の意思を文書に書き換える」仕事に携わってきた私自身の危機感と願いを込めています。AIの高度化により、契約書作成や許認可申請だけでなく、審査や行政判断の補助まで自動化が進み、実務の現場でもその変化を強く実感しています。効率化が進む一方で、人間の揺らぎや背景事情を読み取る力が軽視され、文書が「正しさ」だけで評価される社会へ傾いていく危うさを感じています。
行政書士の仕事は単なる書類作成ではありません。依頼者の事情や葛藤、希望を丁寧に聞き取り、法的に整えつつも「その人らしさ」「その企業らしさ」を損なわずに文書へ落とし込む営みであり、そこにはAIには再現できない人間の温度が宿ります。作品で描いた「文芸の失地回復」は、文芸に限らず、人間の判断や表現そのものを取り戻す象徴です。
悩みながら下す判断、揺れ幅のある言葉、相手の顔を思い浮かべて選ぶ決断。そうした人間性こそが社会を豊かにし、法制度を生きたものにすると信じています。本作を通じ、AIと共存する未来においても、人間の創造性と判断の価値を見失わないでほしいという思いを伝えたいと考えて作成しました。

岸本敏和

文芸コース

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