文芸コース 沖村義春
「和の伝統文化コース」に入学して半年後、家庭がある六十代女性の「昔の彼に会ってみたい・・・・・・」という新聞の投稿記事に出会い、長年営んできた平穏な結婚生活のなかにも記憶の底に揺らぐ異性への思いがあることを知り、心が動かされた。そして、そうした思いを物語として紡いでみたいと思い、文芸コースに入り直した。
元々、言葉に頼らない表現である美術に関わってきたが、執筆を通して言葉でしかできない表現に魅了されている。
本作は還暦を過ぎた既婚男性が、初恋の相手である中学の男子同級生に抱いた「うしろめたさ」に向き合った物語である。ひとは明るく軽やかに生きていきたいと願いながら暗く重いものに引き寄せられるときがあるのではないか。そんなことを思いながら執筆した本作は、これといった大きな事件が起きる訳ではないが、懐かしい思い出として語られる「生きた証」としての重さとは違う、日常に潜む「うしろめたさ」という人生の重さを巡る一人称の物語である。
広島県
瑠璃蜥蜴の記
沖村義春
文芸コース
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