文芸コース 原儀光
若いころから一篇の小説を書いてみたいという願望を持っていた。
卒業研究の取組むに当たり、人生の一区切りとして半生を私小説風に書いてみたいと考え創作系を選んだ。全くの創作はハードルが高くその力量もない。自分の半生なら年代ごとの出来事やエピソードはたくさん覚えている。特に若い年代ほど鮮明に思い出される。
戦後の荒廃から復興へと向かっていたが、まだまだ貧しい昭和20年後半に私は生まれた。高度経済成長の名のもと、世の中は経済発展中心に大きく動いていく中で少年期を生きた。
しかし、経済発展の裏には、大気汚染や水俣病など環境破壊が誘発され一部の人たちには生きづらい時代でもあった。そんな中、生きづらさを乗り越えて成長していく主人公の姿に自分を重ねながら物語を作っていった。
戦地を経験し、帰国後、婿養子として貧しい家に入籍せざるを得なかった父の葛藤と暴力に振り回された主人公とその家族。そして、父との別れから明るく前に進んでいく主人公の青春期をエピソード交え書いた。
名もなく平凡な一人の人間にも生きてきた証はある。百人いれば百通りの生き方がある。
世にいう波乱万丈でなくても、尊い命を紡いできた人生があることを伝えたい。
大阪府
父のてぬぐい
原儀光
文芸コース
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