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  • 中村友恵
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 大学で様々な科目を勉強させて頂いたとはいえ、ようやく小説を読む面白味に触れた程度の私が、皆に褒めてもらえるような作品を創作できるとはとても思えなかった。全員は無理、でも一人くらいうっかり興味を持ってくれはしないだろうか。いるかもわからぬ一人の読者のため、羞恥心をかなぐり捨て赤裸々なサービス精神で創作に挑む必要があると考えた。私は安直な手段を講じた。酒だ。
 この作品は、酒を飲みヘッドバンキングで踊りながら書き、素面に戻った時に整えるという手順で創作した。短編を作って並べていると、ようやく全体のストーリーが浮かんできそうだった。飲んでも飲んでも、人の評価ばかり気にしている自分はいつもいる。そんなもの振り切ってよ、もっともっと、なんだ酒が足りないんじゃないの。肝臓がやられるのが先か、それとも提出期限か。
 提出後の冷静な頭で振り返ると、飲む口実が欲しかっただけにも思えてしまう。

芸術学科 - 文芸コース

中村友恵

千葉県

いちご千日手

  • 京都芸術大学 通信教育部