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芸術学コース 川添 恵美

 この研究のきっかけは、「ヴィンケルマンが賛美していた彫像がローマ時代の模刻であった」と知ったことからです。ギリシアを賛美したとされるヴィンケルマンが見ていたものは、「ギリシア時代に作られた彫像を模して作られたもの」でした。彼は一体そこに何を見ていたのか。彼を突き動かしたものは何だったのか。模して作られた彫像から見えたものは、真実なのか。はたまた、幻なのか。ヴィンケルマンが巻き起こした時代の渦も、すべて幻だったのか。そんなことを考えました。そしてそれは、「美とは何か」「模倣とは何か」という根源的な問い、そのものでした。彼が掲げた美は確かに在り、それは古代から帰納された美でした。そして、彼を追うようにその美に追随する者たちも確かに存在しました。本稿では、そこに後のドイツとなる集合体へ導く「ドイツ人の目覚め」と呼ぶべき意識があったと仮定し、ヴィンケルマン受容とドイツネイション形成との関連性について論じることを主軸としました。ヴィンケルマン研究として「Nation」(ナツィオン)や言語学に言及しているのは2024年1月時点では本稿が初であり、重要なポイントです。


近代ヨーロッパにおけるヴィンケルマン受容について
——ドイツネイション形成との関連性に関する一考 ——

川添 恵美

芸術学コース

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