国宝《金銅威奈大村骨蔵器》の造形についての一考察
芸術学コース 垣本小百合
国宝《金銅威奈大村骨蔵器》が、どのような用途の容器なのかを、瞬時に理解できる人は少ないだろう。骨蔵器と理解しても、用途以上の意匠が凝らされているように思う。華美な装飾はないが、球形を呈した造形は、洗練されている。なぜこのような造形的特徴をもつのか、荘厳な印象を受けるのか、この疑問が本研究の発端である。以上の疑問に基づき、本研究では、従来の先行研究においては、散見して述べられる、本例の造形的特徴に着目し、どのようなことが考えられるのか、また、優れているといえるのかを、さまざまな視点から考察し、「一考察」としてまとめることを目的とした。
研究の結果、従来、墓誌銘を有することを最大の特徴とし、史料として大変貴重であると評され、今なお研究され続けてきた本例は、造形においても稀有な特徴を持ち、古代インドを根源とする舎利容器の特徴との関連性が考えられること、また、本例のような古代の骨蔵器および墓誌銘の製作には、七世紀後半から八世紀前半の短い期間の、火葬文化の受容という時代背景も特筆すべきであることがわかった。
研究を進めるにつれ、次々と疑問が湧き、本研究では書ききれない、調べきれないところが多分にあり、稚拙な論文となったが、卒業論文としてひとつの形に残せたことは大変に意義深く、結果的に生涯の研究テーマを得たと感じている。担当教員の方々のご指導、協力いただいた博物館の方々、そして周りの応援やサポートに心より感謝申し上げたい。
願わくば、《金銅威奈大村骨蔵器》により多くの人々に関心をもっていただき、威奈大村に憶いを馳せ、人が誰かを偲ぶ想いは古代から変わらず、これからも、とこしえに大切にされることを祈る。
空對泉門 長悲風燭
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