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2021年1月17日 ニュース
※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。
ゼミ通ヒーローズ Vol .26
岩本穂ノ実&伊藤舞とデジタルゲーム『へんしょくトラベラー』について語る」の巻 Part 2
今回のゼミ通ヒーローズは、ゲームゼミ十二期生で現3年生の岩本穂ノ実さんと伊藤舞さんの合作となるデジタルゲーム『へんしょくトラベラー』について語っていきます。
ゲーム制作中の岩本穂ノ実さん(左)と伊藤舞さん(右)
村上
二人でチームを組んだのは経緯は?
伊藤舞(以下伊藤)
私は元々誰かと組みたかったんですよ。ただ前期が始まった時、ゼミのみんなは既に一人でゲームを作るって言ってどんどん企画が進んでて…、そんな中私は完全に孤立して「え、マジか!」ってなって(笑)、そこで岩本穂ノ実様からの救いの手が(笑)
岩本穂ノ実(以下岩本)
そりゃそうですよ。こんな絵のうまいやつ放置するなんて皆どうかしてるぜって思いましたもん。早いもの勝ちや!て思ってすぐ声をかけました。
村上
そうだったね。3年になって初回のゼミで「さあこれから始めよう!」って言おうとしたらもうみんな春休みの間に企画を固めてたっていう。一人でやることに拘るのは何だろうな。みんなプライドが高いのかな。
岩本
私にプライドがないって言いたいんですか(笑)
伊藤
(爆笑)
村上
キミはすぐに人の揚げ足を取るな(苦笑)
伊藤
(爆笑)
岩本
そういう性格なんで、許してください(微笑)
伊藤
もし私一人やったら何作ってたんやろ?プログラミングとか無理やしな。
村上
ちなみに今回はUNITYの習得を含めて完成まで5カ月くらいだったかな。ゼロから企画を考えて、UNITYを覚えて、ビジュアルの制作をして、レベルデザインまで含めて全部で5か月。なかなかえげつないスケジュールだったね。
岩本
はい、死ぬかと思いました(笑)
毎週分からんとこ出てくるし、ずっとUNITYとにらめっこしてました。最初はキャラクターが動いただけで嬉しくて、いちいち伊藤舞に動画を送ってお祭り騒ぎ(笑)
村上
アナログスティックで色相環をコントロールできたときとか、テンション上がったよね。
岩本
あれ自体は割とすぐ実装できたんです。でもそれによって主人公の体の色を変える仕様が難してくヤバかったです。
7割くらい全体のシステムを組んで、その後に主人公の色替えを実装しようとしたんですけど、やり方が全然分からなくて、プログラミングの先生に相談しに行ったら「全部見直した方がいいね」って言われて。
村上
最初から作り直し…?
岩本
しましたっ(笑)
村上・岩本・伊藤
うふふふ(苦笑)
村上
その、途中で全部捨ててゼロから作り直した期間を含めて5か月?
岩本
そうです。泣きそうでした。
村上
なるほどね。じゃ今度はデザインの話をしていこうか。デザインといえば伊藤舞。
伊藤
あ、はい。ありがとうございます。
村上
今回の場合、いつものイラストとは違って、絵がうまけりゃいいってもんじゃない。
伊藤
今回はカメレオンのキャラクターなんですけど、走るキャラでもあるので足が発達していて、風を受けてるような髪型だったり、カメレオンらしくもあり、しかも宇宙が舞台なのでそういう要素も入れなきゃいけないんです。アクションゲームなので動きも考えて設計しなきゃいけなくて。
主人公となるレオン君のイメージ
村上
最初のラフスケッチを見せてもらったときに、それは「イラスト」であって「ゲームキャラクターになってない」ってダメ出しをしたよね。
伊藤
実際に村上先生にも描いていただいて、色々参考にさせていただきながら検討していきました。
村上
アクションゲームは静止画でキャラクターを見せるわけじゃないので、キャラクター画像を真っ黒に塗りつぶしてもシルエットだけでキャラ立ちするかどうか、とか、そもそも何をしてる絵なのかがハッキリ分かるようにしないといけない。今回のゲームではキャラクターの立ち位置が基本固定だから、そこまでシルエットに対して神経質になることもないのかなって。ただカラフルなビジュアル設計だし、その中で主人公の色が変わったことを視認させなきゃゲームにならないし、パッと見たときに一番面積の広い部分の変化をしっかり表現しないとゲームとして問題が出てくるのでね。だから出るとこ出して引っ込めるところ引っ込めてっていうメリハリは重視してたね。
伊藤
そうですね。頭の形のカーブとか、頭と体のバランスとか、かなり修正しましたね。
岩本
黄金比を意識して何度も描き直してたよね。
村上
絵を描くだけじゃなくて、今回伊藤にとっての試練だったのは、パレットの管理かな。
主人公のボディは状況によって色が変わるけど、当然変わらない部分もあるわけで、そういう画像データとかパレットデータの管理って、今まで描いてきたイラスト作品では考えたこともなかったと思うし。
伊藤
その辺は岩本さんと常に検証を重ねながら効率の良いデータ作りの方法を考えていきました。あとは、主人公が背景に埋もれないようにするとか。
岩本
最初のバージョンだと、背景画が賑やかだったから主人公が埋もれちゃってたんよね。敵の色を見てそれに対して自分を何色にするかっていう遊び方がしにくくなってたよね。
村上
アニメーションの設計も今回が初めて?
伊藤
そこは岩本さんの方でラフのアニメーションを作ってもらってUNITY上で動かしていって、そこでOKになった動きに関して私が清書していく流れで作っていきました。
岩本
UNITY上で作画枚数とか速度は全部調整してたので、ゲーム制作を止めることなく同時にイメージを固めていくことができてましたね。
村上
ワークフローとしても効率が良かったよね。岩本が企画書と画面遷移図を作りながら、同時進行で伊藤が世界観のイメージボードやキャラクターデザインのラフスケッチをまとめていって、ダミーデータが上がったらシステム設計をして実装していって…と一切の無駄なく作業が進んでて、毎週のゼミの時間に着々と形が出来上がっていく様子が伺えた。
岩本
確かに、初めてデジタルゲームを作る割にはかなりスムーズでしたね。
村上
あとは、ゲーム会社の方にも講評をしていただいたけど、色々指摘を受けてみてどうだった?
岩本
かなり突っ込まれましたけど、全部その通りだなって思いましたね。例えば、自分の色と敵の色が補色の関係になったことをゲーム的に分かりやすく伝える方法として、一瞬コントローラーが振動するとか、主人公が発光するとか。そういう具体的なアドバイスもいただけて勉強になりました。
村上
アーケードゲームを作ってる人たちだったから、ゲームデザインについては凄く厳しいよね。アーケードゲームの場合、最初に100円を入れないとゲームが動かないわけで、ある程度プレイサイクルが理解できて「面白いぞ!」ってなってきたときにゲームオーバーになって「コンティニューしたければ100円入れてね」となる。最初に100円入れるわけだから、プレイヤーの立場からすると、「それなりに楽しませてくれなきゃ怒るぞ」ってなる。ま、それは当然だよね。
そういう姿勢でゲームを作ってる人たちだから、アドバイスの内容としては厳しいようで実は当たり前のことしか言ってない。
もっと根本的なところでいうと、「初めてこのゲームで遊ぶ人にとって『色相環』という要素がハードルになってる」っていう点。色に興味のないプレイヤーが色を面白いと思わせるためにはどんな導入が必要なのか。今回は無料のゲームだから、「遊んでみて面白いと感じたら続けて下さいね」で済むけど、もしこれがアーケードゲームだったらそういうわけにはいかないよね。
岩本
ほんとその通りだと思います。
村上
今年の前期はゼミも全てリモートだったから、完成までの過程で結局一度も直接会うことなく作業が進んでいったよね。
伊藤
私たち大阪勢なので、一日だけ設けられた登学日も出席できなかったんですよ。
岩本
あの日は京都の学生しか大学に行けなかったしな。ZOOMでは二日に一回は打ち合わせをしてたので、本当に一回も会いませんでした。
村上
デジタルゲームだからできたんだろうね。
岩本
アナログゲームのメンバーはかなりしんどかったんじゃないですかね。テストプレイどうすんねんって思いましたもん。
伊藤
コミュニケーションはかなり密にとってました。連絡取れなくなったら終わるから(笑)
岩本
半年間ほとんど一歩も外に出ませんでした。完全に引きこもりでしたね。
村上
今の3年生は、授業はZOOMの方が良いって話してる学生が多いね。特に男子なんか8時50分まで寝てて9時の授業を受けられるし。
伊藤
私たちは家が遠いですしね。あと多少体調が悪くても授業に出られるから、そういう点では良かったですね。
村上
それ考えると、ZOOM授業なのに欠席する人の状況がよく分からんよね。一体何が起こってるんだろうって思ってしまう。
伊藤
時間の感覚がなくなって朝までゲームしてたとか。
岩本
腹痛くて数時間トイレから出られないとか。
後期から対面になったけど、ゼミだけ対面にして、それ以外の授業は全部ZOOMでええんちゃうかなって思います。あ、マズいこと言いましたかね。ここカットしといてください。
村上
わかった。カットしとくわ。
伊藤
でも、ZOOMでも対面でも関係なく作業は出来て、結果完成したので良かったです。
岩本
自分でいうのもナンですけど、私たちって基本真面目なんだと思うんですよ。
連絡だったりワークフローだったり。そういう基本的なところがキッチリしてなきゃ嫌だと思うのは性格の問題なんですかね。
村上
今、「性格」って言ったけど、ゲーム作りに限らず創作の良し悪しって、技術やクォリティじゃなくて性格なんだなって思うことがあるのね。絵が下手だったとして、そこで「悔しい」って思えたら勝手に練習してうまくなるだろうし。パクるのがうまい人がいたら、数をこなしていくうちに自分なりの表現手法が見えてくるだろうし。
伊藤・岩本
(激しく頷く)
村上
技術は高いけどやる気がない人もいるしね。だからただ単純に「作りたい!」って思ってるかどうか。あとは我々がやってることはゲーム作りなので、「お客様に喜んでいただく」っていう当たり前で謙虚な姿勢があるかどうかが重要だと思う。
今年の3年生の作品を見てても感じるけど全員物凄くレベルが高いので、「性格」+「組み合わせ」によるものって大きいのかなって思うね。「隣の席の人がレベルが高いけど、絶対こいつにだけは負けたくない」っていう気持ちが物凄く高くて。
伊藤
本当にみんな負けず嫌いだから、みんなで一緒に楽しくゲームやったりしますけど内側の闘争心はかなり凄いですよね。
岩本
たまに怖くなるけど(笑)でも負けたくないよな。
村上
わかるわかる。君らの生態を外から観察してる分にはかなり面白いんだけどね(笑)
手取り足取り指導しなくても勝手に切磋琢磨して高め合う環境が作れたから、それは凄い幸せなことだな。
というわけで、今回の『しょくトラ』の紹介はここまで。
今後はデジタルとアナログの境目はどんどんなくなっていくだろうし、遊びと学びの境目もなくなっていくだろうし、そんな多様性に満ちた世の中で何を表現するのか、みたいなことを考えながら次年度の卒業制作に臨んでもらえればなぁと思います。
伊藤
はい、ありがとうございます。
皆さんダウンロードお願いしまーす!
「ふりーむ」https://www.freem.ne.jp/
「もぐらゲームズ」http://www.moguragames.com/
2021年1月16日 ニュース
※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。
ゼミ通ヒーローズ Vol .26
「岩本穂ノ実&伊藤舞とデジタルゲーム『へんしょくトラベラー』について語る」の巻 Part 1
今回のゼミ通ヒーローズは、ゲームゼミ十二期生で現3年生の岩本穂ノ実さんと伊藤舞さんの合作となるデジタルゲーム『へんしょくトラベラー』について語っていきます。
村上
今回の対談相手はゲームゼミ3年生の伊藤舞さんと岩本穂ノ実さんの二人です。二人は以前も「ゼミ通ヒーローズ」のゲストとしてピックアップしたので、素性についてはこちらをご覧ください。
ゼミ通ヒーローズvol.11 伊藤舞と「Japan Expo」について語るの巻
https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=105036
ゼミ通ヒーローズvol.13 岩本穂ノ実と「ゲーミフィケーション」について語るの巻。
https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=106014
岩本穂ノ実(以下岩本)
今回私たちは『へんしょくトラベラー』、略して『しょくトラ』というゲームを制作しました。私の担当はプランニング兼プログラミングでした。
伊藤舞(以下伊藤)
私は岩本さんとペアを組んでデザイナーとして制作を行ないました。
「しょくトラ」のゲーム画面
村上
では『しょくトラ』のゲームの内容を聞かせてくれるかな?
岩本
一見普通の2D横スクロールアクションゲームなんですけど、簡単にいうと「補色で捕食せよ」というキャッチコピーが示す通り、遊びながら補色の関係性を覚えられるアクションゲームになっています。
伊藤
プレイヤーが操作するのはカメレオンをモチーフにした主人公キャラクターで、色がついた色んな虫を捕食していきます。このとき、虫の色に合わせて自分の体の色を変えながら捕食していきます。
岩本
PlayStation4のアナログスティックを使って、左のスティックで自分の体の色を変えて、〇ボタン入力で舌を伸ばして虫を食べます。ジャンプがR2ボタンっていう変わった配置になってるんですけど、ボタンを押している間大きなジャンプになります。
アナログスティックの回転操作と色相環UIの色選択が一致していて、スティックを回すことで主人公の体の色が変わっていきます。それで、敵の色の補色にあたる色にして敵を食べます。
村上
補色ではない色の敵を食べたらどうなる?
伊藤
その場合はペナルティとしてちょっと画面が止まってしまいます。
岩本
おいしくないものを食べたために主人公が「おえ~っ!まずい!!」ってなって暫く動けなくなるという設定です。これによってゲームオーバーになったりはしないんですけど、単にタイムロスとなってスコアが下がります。
村上
内容的にはすごくシンプルなものになってるけど、その中での面白いポイントとは?
岩本
結構脳みそフル回転させて遊ぶゲームなので、次々にやってくる敵に対して「この色に変えなきゃ!」って焦るところですね。
村上
初めて試遊した時、操作が難しくてジャンプすらまともに出来ない状態だったんだけど、
二回目のプレイの時には操作に慣れてスムーズになって、やればやるほどうまくなっていくことを実感できるゲームになってたね。よくあるパターンとして、ゲームの内容を分かってる人間にとってちょうどいい難易度にチューニングしていく傾向があって、だから初めてのプレイの場合だと全然満足に動かすことができない場合が多い。
伊藤
これでもかなり簡単にしたんですよ。
村上
伊藤は試遊したときどうだったの?
伊藤
最初はもうボロボロでしたよ。1ステージ目でもろくに飛ぶことすらできずに…。
でも最終的には最後のステージをAランクでクリアできるようにはなりました。
岩本
え、まだSランクちゃうの?
伊藤
いやいや、最後のステージでSランクは無理やって。
岩本
最後の方に三段ジャンプをしないといけない場所があって、これうまくいったらめっちゃ気持ちいいですよ。
村上
今回は色相環をモチーフにしたゲームシステムってことだけど、実は色を使ったゲーム企画はほぼ毎年出てくるんだよね。途中で企画が消えることが多いんだけど。
岩本
あ、そうだったんですか?
村上
なんかパズルゲームとして企画する場合が多くて、そうなると作業ゲーになりがちで。要はこの色に対してこの色を割り当てろ、って感じで答えが固定されるから、「そんなの面白くない」って却下してしまう。でも今回の作品はそこにアクション要素が入ることによって、覚えるだけじゃなくて反射神経を要する部分がかなりアツかったから企画にGOを出した。
さてさて、そんな『しょくトラ』がインディーズゲームのサイトでも紹介されたとか。
岩本
そうなんです。インディーズゲーム投稿サイトの「Freem!」からゲームをダウンロードしていただけるようにしています。「もぐらゲームス」っていうサイトで管理人さんから高く評価していただいて、記事も掲載していただきました。
村上
もうダウンロード数とか出てるの?
岩本
今朝は93でした。毎日チェックしてます。
伊藤
もう少しで100やね!みなさんぜひ遊んでみて下さい!
岩本
PlayStation4のコントローラーでしか操作できないのがネックになってて…。もしキーボード操作のゲームにしてたらもう少し数字が伸びたかもしれないですね。
村上
でもあのインターフェースはアナログスティックしか考えられないしね。あるとしたらマウスを使うか、カーソル設定にしても6色選ぶのに6方向だから…ちょっとキーの割り当てに無理があるかな。
伊藤
でも元々この企画は配信向けに作ってないっていうか、学科展(3年生の学生作品展)の会場で直接遊んでいただくことを想定して作っていたので、PlayStation4のコントローラーでの操作を実装してたんですけど、学科展がオンラインになるということで、途中から配信を決めました。
村上
学科展はコロナの影響で残念ながらwebでの公開のみとなったけど、そこは単にサムネイルが並ぶだけで、そのサムネイルをクリックするとダウンロードサイトに飛ぶってことが分かりにくくなってたね。
岩本
結果、Freem!さんの方でもピックアップはしてもらってたみたいですよ。新着ピックアップとかおススメゲームとか。アクションゲームの枠でもおススメゲームとして紹介されてましたね。
村上
何が評価されたんだと思う?
伊藤
多分ですけど、Freem!さんって元々アクションゲームが少ないから目立ったのかもですね。
岩本
サムネの絵のクォリティと、あと補色の奇抜さが良かったのかなって個人的には思ってます。
村上
確かに、コメントの所にもその2点は書かれてたね。ここからどう広がっていくかが楽しみだね。
岩本
この記事を読んだ人、絶対ダウンロードして下さい(笑)
村上
そういうの大事。あとはウチの広報課の努力次第。
岩本
そうですね。在学生が全員ダウンロードしたら凄い数になるのでぜひ(笑)
伊藤
少なくとも学内で周知したいですね。
「Freem!」
https://www.freem.ne.jp/win/game/24210
「もぐらゲームス」
http://www.moguragames.com/entry/freegames-in-progress-2020-11/#title02)
村上
そもそもこの「ゼミ通ヒーローズ」の連載を始めたのも、キャラクターデザイン学科にゲームゼミっていうのがあることすら学内で知られてないし、実は面白い取り組みをたくさんやってるのに勿体ないなって思って始めたことだしね。
さて、今度はこのゲームの企画の経緯を聞かせてもらおうかな。
岩本
そうですね。1年生の頃から補色をテーマにしたゲームの企画を考えてて、学科展に向けてこれを形にしたいなと思って。でもそのときはアドベンチャーゲームで考えてたんですよ。
当初は補色というか、例えばオレンジ色を使えば部屋が暖色に染まって温度が上がるとか、色の持つイメージを使うことによって状況がどんどん変わっていくような、それでギミックを解いて物語を進めていくゲームシステムでした。でも企画書を村上先生に見せた時にめっちゃダメ出しされて(笑)
村上
「作業ゲー」「覚えゲー」だって突っ込んだね。
岩本
それと、単に物量勝負になるとも指摘されました。
村上
覚えゲーにしないようにしたら、ありとあらゆる状況で色ごとに違うイベントを設計しないとゲームとして成立しなくなるから、そうなると作った労力に見合うだけの面白さが得られるのかと。で、正直どうかなって思ったわけ。
岩本
二択で条件を出されたんですよ。ゲームのクォリティを下げて発想の奇抜さを売りにするのか、展示を意識してビジュアルを重視して作っていくのか。どっちかに絞って気合入れて作れって言われて。大人の事情を突き付けられて「おもんねー」って思って違う企画に切り替えました(笑)
村上
あの時は展示会までの限られた期間があって、この少ないリソースの中でUNITYもゼロから覚えつつビジュアルとシステムの両方で満足のいくものにするのは厳しかろうと思って。そしたら絵が描ける伊藤を連れてきて「合作でやります」っていうから、それならOKだよと。
岩本
色々ダメ出しされる中で、過去に私が書いた企画書を見返してたら、その中に今の『しょくトラ』に近い内容の企画書を見つけたんです。これを取り入れて「補色で捕食せよ」っていうキャッチコピーを思いついたあたりからどんどんイメージが広がっていった感じですね。
村上
そこは歴代ゲームゼミの先輩方がよくやってきた、言葉遊びと駄洒落と親父ギャグからゲームの構想を膨らませるやりかたを踏襲してるのね。
岩本
完全にそうですね。
伊藤
ブログでもここは注目されてたもんね。駄洒落かよ!って。
Part2に続く
2021年1月8日 ニュース
イラストレーションゼミ vol,001
販売期間:2021年1月5日~2月5日
こちらでは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科のキャラクターイラストゼミの
様々な活動情報をアップしていきたいと思います。
第1回目の今回は、現在ゼミで取り組んでいる産学連携授業の内容をご報告いたします。
日本のステッカー業界を牽引されている「B-SIDE LABEL」さんをご存知でしょうか。
紹介させて頂いている画像を観れば、「知ってる!」「スマホに貼ってる!」という方も多いかと思います。
大阪ミナミのストリートから始まったステッカー屋さんは、今では全国に専門店を7店舗構える大ポップアート会社と
成長され、今現在でも、オリジナルはもちろん、有名コンテンツとのコラボも留まる事がありません。
モンハンやポケモン、鬼滅やヒロアカなど、皆さんの大好きな作品とのコラボステッカーなんかも!!
そんなB-SIDE LABELさんと一緒に授業をさせて頂いて今年で3年目。
毎年、受賞作品はB-SIDE LABEL京都店にて、期間限定で実際に販売されます。
過去には人気となり、全国販売まで発展した作品も!
もしかしたら全国の皆さんの元にも、キャラデ学生の作品が届いているかもしれませんね。
今年も受賞目指して数多くの力作が完成しました。
その中から受賞作品が決定し、現在ビーサイドレーベル京都店さんにて発売中です!
販売期間は2021年1月5日〜2月5日です。是非とも密にお気をつけ頂き、足をお運び頂ければ幸いです。
【今年度受賞作品】
株式会社B-SIDE LABEL
WEBSHOP
京都店
〒604-8046
京都府京都市中京区寺町通蛸薬師下る東側町521番地
TEL:075-251-6540
営業時間:12:00~20:00
定休日:毎月3回目の水曜日(祝日は除く)
2020年11月25日 ニュース
こんにちは。キャラクターデザイン学科の村上です。
11月16日、京都でちょっと変わったワークショップが行なわれました。
場所は太秦にある東映京都撮影所の中に新設されたVRイノベーションアカデミー京都の教室です。
映画「蒲田行進曲」で若き松坂慶子が「あんったぁーーー!!」と力の限り叫んでいたあの場所に建てられました。(分からない人はググろう)
これは、京都の地場産業と教育機関が連携して「VRを活用した新しい可能性を模索する取り組み」を行なうという京都府主宰のワークショップです。
ゲームジャムのゲーミフィケーション版のような感じ(分からない人はググろう)で、そこに企業が加わって実用化を目的とした技術の実験を行います。
参加する教育機関は、京都芸術大学、京都精華大学、立命館大学、京都コンピュータ学院の4校。
そして、毎回ゲームジャムやビットサミット等でゲームゼミの学生がお世話になっている
京都のゲーム会社スケルトンクルースタジオさんにワークショップの運営を行なっていただきました。
4校の学生をシャッフルして4つのチームをつくり、そこに京都の地場産業の代表の方が入って、現状の様々な問題解決に向けたディスカッションを行ないます。
ワークショップは全5回で、初回はテクニカルサポーターのメンターも加わり、各自自己紹介や企業様へのヒアリングをして終了しました。
次回からはより具体的な企画を検討し、実現に向けてVRやARの企画開発が動き出します。
学生たちよ。若いうちしか作れないヘンなものをたくさん生み出しておくれ。
2020年10月10日 ニュース
10月8日、この日は雨。
キャラクターデザイン学科の教室は、高まる緊張感で一杯でした。
これまで、キャラクターデザイン学科ではゼミ合同プロジェクトとして
楽曲からのミュージックビデオ制作を2、3年生は行っていました。
まだオンラインだった前期からずっと会議を何度も重ねてきて、
そして現在、ついに作品が仕上がりつつあります。
そんな作品を見に、楽曲提供者であるヒメノアキラさんご本人が
わざわざこの日来ていただけました。
何ヶ月も作ってきた作品。ご本人からどんなご意見がいただけるのか、
先生方も緊張のご様子です。
ヒメノアキラさんは歌のイメージ通り、穏やかで自然体なお人柄で
芯の強さを感じる素敵な方で、学生も先生もにこやかに授業は進みました。
そしていよいよ学生が作品についてのプレゼンテーションを行い
作品鑑賞が始まりました!
ヒメノアキラさんはプレゼンテーションも熱心にメモを取りながら聴いていただき、そして作品ご鑑賞後、
「感激しました! 」とコメントいただけました!!
楽曲制作者ご本人から直接お言葉をいただけて制作を担当した学生も想いがこみ上げてきます。
ミュージックビデオを大変な状況の中、頑張って制作してきて本当にお疲れ様です!!
最後に制作した学生みんな笑顔でヒメノアキラさんを囲んでの記念撮影となりました。
雨音が穏やかなリズムを包みこむ素敵な授業をしていただいたヒメノアキラさま。
わざわざご来校いただきありがとうございます!!!
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京都芸術大学は、今アジアで最もエネルギーを持って動き続ける大学であるという自負があります。
通学部13学科23コース、通信教育部4学科14コース、大学院、認可保育園こども芸術大学。
世界に類を見ない3歳から93歳までが学ぶこの大学は、それぞれが溢れる才能を抱えた“プロダクション”のようなものです。
各“プロダクション”では日々何が起こっているのか。授業や取組みの様子、学生たちの作品集や人物紹介。
とどまることなく動き続ける京都芸術大学の“プロダクション”の数々。
そこに充満するエネルギーを日々このサイトで感じてください。