歴史遺産学科

2019年3月

  • LINEで送る

2019年3月7日  インタビュー

歴史遺産学科への招待-大林賢太郎教授が語る文化財保存修理(後編)-

こんにちは。歴史遺産学科の副手です。

先日の歴史遺産学科への招待-大林賢太郎教授が語る文化財保存修理(前編)-に引き続き、

今回は後編をお届けいたします。

 

前編はこちらからご覧ください→

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

Q4:大学で文化財修理を学ぶというのはどういうことでしょうか?

 

昔は、職人の世界で、口べたでも、科学的な知識はなくても、勘を磨き、経験を積めば良い仕事ができました。

しかし、今では、科学的な知識が必要ですし、医者と同じく説明責任を果たさなくてはなりませんので、

人に説明したり、文章に書いたりする技術も必要となりました。

そういったことを私たちの頃の様に工房で0から学んでいくのでは時間がかかりすぎます。

工房では基礎を学んだ人を採用した方が合理的だと考えるようになったのです。だから大学で文化財の保存修復を

学ぶようになり、卒業生たちも工房や専門機関で活躍しています。

 

 

Q5:大学で学ぶにはどのような授業がありますか?

 

私が担当している授業では、1回生の歴史遺産学概論Ⅱでは「文化財を守る仕組み」について講義しています。

また、装潢文化財論では、装潢文化財(絵画・書跡)の修復だけでなく、広く様々な歴史資料の修復についても

実例を挙げながら解説しています。

2回生の歴史遺産学基礎実習Ⅱでは、装潢文化財の調査の実技を指導しています。

また、3回生の歴史遺産プロジェクト演習Ⅱ、23回生合同で行う歴史遺産プロジェクト演習Ⅰ/Ⅲでも

装潢文化財の修復実習を行っています。また、3年生、4年生、大学院生の研究についてはゼミ指導を行っています。

こうした授業以外にも、日本庭園・歴史遺産研究センター歴史遺産研究部門の受託事業(ガラス乾板の調査や浮世絵修復プロジェクト等)を、学生達と一緒に行って実際の修復を体験してもらっています。

 

 

三木城クリーニング1

学生たちによるクリーニングの様子

 

 

 

Q6:学生や受験生へのメッセージをお願いします。

 

文化財保存修理の現場の仕事は、既に明らかになっている知識を習得し、既にできあがった処置方法、

手順を覚えればよいというのではありません。作品をしっかり観察分析して、様々な研究を積み重ね、

日々、発見を積み重ね、今ある技術を改良、改善しながら進めていかなくてはなりません。

一緒に新しい世界を切り開く一員になりませんか?

 

 

 

 

  • LINEで送る

2019年3月4日  インタビュー

歴史遺産学科への招待-大林賢太郎教授が語る文化財保存修理(前編)-

こんにちは。歴史遺産学科の副手です。

 

これまでの授業紹介に引き続き、今回は歴史遺産学科の先生方の専門分野について、

また、歴史遺産学科での学びについてご紹介いたします。

1回目となる今回は、大林賢太郎先生です!

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Q1:大林先生のご専門分野を教えてください

 

装潢(そうこう)文化財、歴史資料の保存修復分野を専門としています。

装潢文化財というのは聞き慣れない言葉ですが、絵画や書、あるいは古文書などのことです。

日本の書画は絹や紙に描(書)かれていますので、そのままでは扱いが大変です。

そこで、伝統的な形として掛け軸や巻子(巻物)、屏風、襖、額、冊子、画帖などの形式に仕立てられてきました。

それぞれの形態に仕立てることで、しっかり保護したり、鑑賞できたりするのです。

こういう形に仕立てる技術を装潢(技術)と呼ぶことから、「装潢文化財」と呼ばれています。

 

 

Q2:装潢文化財はどのように修復するのですか?

 

絹や紙に絵具や墨が載った装潢文化財は、脆弱なので、百年以上を単位とする周期で修理を繰り返しながら

受け継がれてきました。その技術は長い歴史の中で発展し、現在では様々な科学技術を取り入れたものになっています。

文化財修理技術者というと、細かい手作業を延々と続ける、あるいは、伝統技術の奥義を極めて

神業を駆使する職人のイメージが思い浮かぶと思います。しかし、現在の文化財修理技術者は、

作品の素材構造を科学的な分析を駆使して把握し、劣化・損傷を見極めて処置をしたり

保存できるように環境を整えたりします。

 

 

三木城表紙処置

古文書修理の様子

 

 

 

Q3:大林先生も実際に修復なさるのですか?

 

私は大学へ来る前は、修理工房で実際に修理を行っていました。

研究者は作品の歴史的、美術史的な面では専門ですが、「もの」としての作品については、

修理技術者ほど知ることはありません。修理技術者は、作品を直接手で触って、解体して組み立て直すのですから。

科学技術の進歩や学術的な研究の成果によって、日々の作業の中で、新しい発見に出会うことが多い仕事です。

そして、歴史を語ってくれる「もの」を次の世代に引き継ぐ、重要な仕事です。

私個人としては、分析結果から素材を特定したり、劣化の原因を考えるのは、ある意味で証拠を一つ一つ積み上げて、

推理をする探偵のようなところが気に入っています。

修理が完成し、次に引き継ぐことができる新しい姿を見るのが一番うれしい瞬間だという人もいます。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

インタビューを通して、大林先生のご専門分野、工房での修理について等、詳しくお話をうかがいました。

後編では、「歴史遺産学科で学べること」についてもご紹介いたしますので、前編・後編とあわせてぜひご覧ください!

 

コース・分野を選択してください

トップページへ戻る

COPYRIGHT © 2013 KYOTO UNIVERSITY OF ART AND DESIGN

閉じる

ABOUT

京都造形芸術大学は、今アジアで最もエネルギーを持って動き続ける大学であるという自負があります。
通学部13学科21コース、通信教育部4学科14コース、大学院、こども芸術大学。
世界に類を見ない3歳から93歳までが学ぶこの大学は、それぞれが溢れる才能を抱えた“プロダクション”のようなものです。

各“プロダクション”では日々何が起こっているのか。授業や取組みの様子、学生たちの作品集や人物紹介。
とどまることなく動き続ける京都造形芸術大学の“プロダクション”の数々。
そこに充満するエネルギーを日々このサイトで感じてください。