2020年3月
2020年3月19日 インタビュー
こんにちは。歴史遺産学科の副手です。
第1回目に引き続き、歴史遺産学科の学生が参加したインターンシップ報告です!
今回は㈱空間文化開発機構主催で行われた文化財石垣保存技術協議会による「後継者育成研修事業」です。
日本全国で熊本城ほか、各地で近世城郭の石垣の修理や復元が行われています。
歴史遺産学科にも文化財石垣修理の専門家を目指す学生がいます。
その学生である歴史遺産学科3回生のMさんに、研修の様子についてご報告いただきます!
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歴史遺産学科 文化財保存修復・歴史文化コース3回生のMです。
2月12日に史跡高松城跡で、文化財石垣についての実地研修が行われました。
本研修は1月16日(木)と2月6日(木)の2回の講義を含む計3回の研修でした。
文化財石垣保存技術協議会による後継者育成研修事業として行われ、
今回は協議会事務局である(株)空間文化開発機構さん主催の元に行われました。
本学科からは1回生4人・2回生1人・3回生2人の計7人が参加しました。
当日の日程等は以下の通りです。
○研修日時…2月12日(水) 天候 曇りのち雨(最高気温12.7℃)
○研修場所…高松城跡
○研修工程…11:50 高松駅集合
12:00~13:00 昼食・玉藻公園散策
13:00~13:50 高松城跡内説明
14:00~14:45 旭橋北側石垣修理工事見学
15:00~ 解散
京都から高松城には3時間程度で着きました。
人生初の香川で本場うどんを食べた後、高松城跡(玉藻公園)へ向かいました。
玉藻公園に入る前に「地久櫓台石垣」の説明を受けました。
地久櫓台石垣
この地久櫓台石垣は路面電車の線路に面している、少し特殊な場所に位置した石垣です。
工事前、線路を高松駅方面に敷きなおす計画もあったそうですが、予算の都合上実行するのは難しかったそうです。
公共交通機関を目の前にして行う整備は当然難しく、線路に面した石垣部分は電車が運行しない終電から始発の間、
即ち深夜に行ったと聞きました。
整備期間は平成11~15・24~26年度で現在は終了しており、線路に面する石垣には網が被せてあります。
下部には柵も設けられており、線路内への石の落下を防ぐ役割を果たしていました。
景観の面では少し苦しいところも感じましたが、線路上の安全を考えると必要だと思いました。
(実際に電車が目の前を通りましたが、振動を感じました。)
天守は現在ありませんが、天守台は石垣を含め整備されており入って登ることもできました。
天守台
海水の澄んだお堀を上から見渡せてとてもいい景色でした。
天守台からの眺め
13時からは高松市の職員さんと城跡内を廻りつつ、各場所の説明を受けました。
月見櫓や桜御門跡・鯛の餌やりエリア、披雲閣庭園等様々な場所を巡りました。
その後いよいよ石垣の修復現場へ足を運びます。旭橋北側石垣です。
旭橋北側石垣修復現場
現場の石垣は堀に面しているため、水の中に足場を組んでいました。作業は石を積んでいる最中でした。
堀の中ではありましたが足場がきちんと組まれているため、雨天でも危険はあまり感じませんでした。
石を積むことに関して「いざ積んだらずれそうで難しそう」というのが個人的な考えでした。
実際、多少のずれが起こることはある、と現場の技術者の方からお話を聞きましたが、
その都度修正していくことが現場の職人の技術に託されているという事も知りました。
実際に「現場を見ること」は大事だと改めて感じました。
文化財においてコンサルタントや自治体の役割も当然大事ですが、
現場を託されている人たちの役割はまた一段と重みがあり、やりがいが非常に強い仕事だと感じました。
途中から雨天でしたが、そのことはまったく気にならない程、現地での研修は充実していました。
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実際の現場へ足を運ぶこと、また、そこで職員さんや技術者の方のお話を聞くことはなかなかない経験で、
みなさんにとってとても貴重な機会となったのではないでしょうか。
なお、第4回目の研修が3月中旬に予定されていましたが、コロナウイルス感染拡大防止の観点から
中止となったようです。また、この研修会(インターンシップ)は来年度も行われるとのことです。
Mさん、ありがとうございました!
第1回目のレポートはこちらをご覧ください!→【インターンシップ】第1回目-埋蔵文化財専門職-)
2020年3月13日 インタビュー
みなさん、こんにちは。歴史遺産学科の副手です。
これから3回に亘り、歴史遺産学科の学生の自主活動をピックアップします。
歴史遺産学科の学生は授業だけでなく各自学内外で活発に活動しています。
学生の自主活動の様子を順次ご紹介いたします!
まず第1回目となる今回は、この春に4回生に進級するKさんに
「第4回近畿地区文化財専門職説明会」への参加について、専門に特化したアルバイト等
についてレポートしていただきます。
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4月から歴史遺産学科4回生になるKです。
入学から早3年、ついに学生生活最後の年になります。
この3回生の春休みは、卒論・就活のどちらにおいても大事な時期であり、
1日でも無駄にはできないなと思っています。
私はこれまでの3年間で、埋蔵文化財に携わる職に就きたいという夢ができました。
現在、埋蔵文化財専門職への就職を目指し、専門性を深めようと大学院への進学を考えています。
1月に開催された「第4回近畿地区文化財専門職説明会」に参加した際、
他大学の学生さんと交流するなかで、自分の未熟さを痛感しました。
それと同時に、今の自分にできる最善の行動は何だろうか?と考えるようになりました。
専門職は技術・経験が要となる職業です。
専門職員の方のお話や学生さんの体験談を聞き、初動が遅れてしまった焦りも感じましたが、
これからの時間を有効的に使い、自分のペースで発掘の現場経験などを積んでいこうと思いました。
この説明会で受けた衝撃が、私の原動力になっています。
はじめの一歩として、出土遺物の整理のアルバイトを始めました。
「とにかく自分にできることからやっていこう、頭で考えているだけでは意味がない」と思い、
ゼミの先生に紹介していただきました。
作業としては、発掘調査で出土した土器や瓦などの整理、今は主に中世(11~12世紀頃)の
土師器の注記・接合を行っています。職員の方々とお話する機会も多く、研究や就職についての
アドバイスをいただくこともあります。
私の研究対象である土師皿(かわらけ)が多く出土しているため、
作業のなかで本物に触れながら知識を蓄えていける、大変良い環境だと感じています。
また、他にも大学での土器の実測実習に参加するなど、積極的に動いていこうと思います。
自身の研究や将来のためにも、文献から知識を得ることはもちろん、実物に触れ、
感覚的にも学びの多い有意義な春休みにしたいです。
悔いを残さぬよう、最後の1年を精一杯頑張ります。
土器の実測実習の様子
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Kさん、ありがとうございました!
積極的に自ら行動し、また、普段なかなかできない他大学の学生との関わりによって、
得られる気付きもたくさんあったという点に、まずは行動してみることの大切さを感じました。
このように、授業外で自主的に学ぶ機会もたくさんあり、大学または実地での研修会等、学ぶ形も様々です。
次回以降もそのような活動についてご紹介いたします。
どのような経験を学生たちは積んでいるのでしょうか。楽しみです!
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