写真・映像コース

大きな節目に写した揺らぎ 写真・映像コースの2年生展が開催!【文芸表現 学科学生によるレポート】

違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。

 

文芸表現学科・2年生の出射優希です。写真・映像コースの方にお話を聞かせていただくのは初めてでしたが、写真を撮ることと文章を書くことは、思っているよりずっと距離が近いように感じます。モノクロで世界を写した写真展について、写真映像コースの学生の方からご提供いただいた写真とともに、モノクロの言葉でご紹介していきます。

 

 

●2年生初めての展覧会、「這うまなざし」

 

写真・映像コースの2年生有志によって開催された写真展、「這うまなざし」。

モノクロフィルムだけで表現するという制約のなかで、それぞれが写真と向き合った時間の濃さを感じます。

↑撮影者:永田智矢実さん

 

会期中、通りがかった学生や教職員の皆さんが足を止め、じっと写真を見つめている光景を何度も目にしました。

撮影者のまなざしに、鑑賞するまなざしが重なる様子は、写真に捉えられた「瞬間」が何層にも厚みを持っていくような、不思議な光景です。

 

こうした形で写真展を開催するのは2年生にとって初めてのこと。

今回は実際に参加されていた、写真・映像コースの2年生、原田一樹さんにお話をお聞きしました。

 

●先生の言葉が、歩みを支える

 

「這うまなざし」という展覧会タイトルは、作品が完成してから全体を貫くものとして付けられています。

フィルムを暗室で自ら現像して、それを作品として何度も試行錯誤しプリントする工程を経て、〈紙に思いが這う〉というそれぞれの実感がこもっているこのタイトル。

最初は別の案があったのだとか。

 

——最初は〈開幕〉というタイトルで話し合っていました。2年生はしっかりした展示が初めてだということもあったし、真っ暗な暗室でプリントされた作品を、明るい場所へ持ち出す、というイメージもあって。でも先生や先輩からは微妙だと言われ没に……。それで最終的に〈這うまなざし〉にしようということになりました。

 

開幕も勿論素敵ですが、幕を開いた後に、それぞれが歩みを進めていることが伝わってくるタイトルになっているので、とても的確ですね。

 

↑堀井ヒロツグ先生のコメント

 

先生から伝えられたことのなかには、「作品全体のうち撮影は1、2割で、その後のプリントが重要だ」ということもあったのだそうです。

撮影したフィルムを何度も繰り返しプリントして、作品として光の量や質感を自分の納得のいくものにしていくことで、その言葉を実感したと語ります。

 

●成人する節目に残した揺らぎ

 

↑原田一樹さんの作品 撮影者:東千尋さん

 

こちらが原田さんの作品です。

幼い頃に繰り返し見た母の夢が題材になっており、柔らかい光のなかに存在する、なんとなく不安定で非現実的な光景は、夢の危うい印象も与えます。

 

——19歳から20歳になるというのは、大人と子どもの間で、社会的にも大きい節目だと思っていました。この作品はそんな節目にあたる19歳の後半から考えていた作品です。子どもの頃から消化しきれずに残っていた夢に、写真として形を与えようとしたのがきっかけでした。

 

2年生は多くが19歳から20歳を迎える学年ですが、その揺らぎを残しておくという意味でも、2年生で開催された展覧会というのは特別なものを感じます。

 

●作品を結ぶストーリーを、写真に与える

 

5枚でひとつの作品として、写真の構成もこだわったポイントなのだとか。

 

——最近気づいたことなんですけど、作品の中でストーリーを作るのが好きで。これも5枚でひとつのストーリーにしたいというのが自分のなかでありました。全ての写真で母を撮っているだけではリズムがないので、中央に波の写真も入れています。そもそも光が好きで、水の反射とかが気になるっていうのもあって。今回は特に、夢の捉えづらい曖昧なイメージを表現したかったので、森の茂みの奥の暗がりや、不規則な水面を配置したんです。

 

自分の表現したい世界を写真として留めるために、1枚の写真と全体の調和を何度も反復する行為は、それこそ紙の上を這うような、地道なことなのだと思います。

 

●這うような歩みのその先に

 

額装もそれぞれの手で行われているそうで、自分の作品を壁にかけるまでに何度も思案したことが、どの作品からも伝わってきました。

写真というひとつの枠組みのなかで考えを重ね、フィルムだからこそ生まれる写真と向き合う時間。

シャッターを押す瞬間を超えて、「写真を撮る」という行為の底の深さを覗いたような気がします。

ひとつの節目を迎えた2年生の活躍に、注目です。

 

 

写真・映像コース 2回生『這うまなざし』

会期 2021年9月24日(金)〜10月7日(木)※土日祝は休廊
時間 10時〜19時 最終日は17時まで
場所 京都芸術大学 ギャルリ・オーブ
出展者 美術工芸学科 写真・映像コース

大橋真日菜、崎谷莉音、永田智矢実、永久泰地、成瀬凛、野山愛祈、原田一樹、伴野桜、KAO TING CHIH

入場料 無料(学内関係者のみ入場可能)

 

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取材記事の執筆者

文芸表現学科2年生

出射優希(いでい・ゆうき)

兵庫県立西宮北高校出身

 

1年生のとき、友人たちと共に、詩を立体的に触れることができる制作物にして展示した展覧会「ぼくのからだの中にはまだあのころの川が流れている」を開いた(バックス画材にて)。

自分のいる場所の外にいる人とつながるものづくりに、興味がある。また、「生きること」と直結したものとして「食べること」を捉え、それを言葉で表現している。

 

 

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