映画学科

俳優の柄本明さんを迎えて講義がおこなわれました

10月14日と15日に俳優の柄本明さんを迎えて講義が行われました。

柄本さんは1948年生まれ、1976年に劇団東京乾電池を結成したあと舞台だけでなく多方面で活躍しています。

そして映画関連だけでなく2019年には旭日小綬章も受賞するなど、いま日本の映画界や演劇界にとってなくてはならない存在です。

 

 

柄本さんが担当したのは「映画演技VIII」という講義で、主に俳優コースに所属する2年生と3年生およそ20人が受講しました。

 

 

2日間の講義の中で柄本さんは示唆に富む話をいくつも投げかけていました。

まず柄本さんは、1人を全員で見つめ「見られることとは何か」を意識させた上で。

 

 

「見られると何かを演じちゃう、何かやることになっちゃう。そして何かをやるときに何かを真似している自分に気づく。それのことが大事」と話しました。

 

そのあと、役者が舞台に出る際には。

 

 

「この場所(舞台やカメラの前)に出てくる、何かがやってくる、それは何か、何かが始まってしまう、答えがあることではないけれど始まってしまう」。

「舞台に出ることは恐ろしいことだと感じてほしい。簡単に希望をつかみにいっている、まず絶望してくれ、絶望は希望につながっている」と伝えていました。

 

チェーホフの「かもめ」やベケットの「ゴドーを待ちながら」、そして別役実さんの「小さな家と五人の紳士」のテキストを使った稽古では。

 

 

「やっている人が楽しければ、見ている人は楽しい。では楽しいってどういうこと、では苦しいことや悩むことは楽しくないのか」。

「役の人のこと自分自身のことを、考えること、意識すること、気づくこと。答えはない、考え続けること、探すこと」が大切だと何度も伝えていました。

 

 

受講した学生は、「わかったと思っていたことがわかっていないと気づいた。しかしわからないことはマイナスではなく、その時間が大事、味わうことが大事だと思いました」。

「普段の自然な演技が答えだと決めつけていた、チャレンジしていなかった。よく考える癖をつけ、次につなげていきたい」と話していました。

 

 

人が動くことで何かが始まり何かが変わるのは、舞台もこの世界も同じです。その世界で人を真似して生きるのか、それとも自分の足で立って考えて生きるのか、柄本さんから大切な課題を投げかけていただいた2日間でした。

 

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