舞台芸術学科

【授業風景】舞台衣装の授業をご紹介します!(舞台デザイン特講・衣装)

こんにちは!

舞台芸術学科です。

 

本日は授業の様子をご紹介します!

 

ご紹介するのは、舞台衣装の授業「舞台デザイン特講・衣装」です。

この授業では、舞台衣装家の川口知美先生のご指導のもと、夏期休暇期間に舞台衣装について集中的に学びます。

 

 

今回は特別に、川口先生に授業についてお話をうかがいました!

 

とても読み応えのある内容となっています。

舞台や舞台衣装に興味がある方、舞台芸術学科の授業の雰囲気を知りたい方は、ぜひご覧ください!

 

★舞台衣装家 川口知美先生インタビュー★

 

Q.今回の夏期集中授業では、カフカ著『変身』をもとに衣装を制作し、最終日にパフォーマンスを行ったと伺っております。
授業の概要や進行の流れを教えていただけますでしょうか。

 

A.概要としては、舞台衣装の基本的な知識の講義と共に、課題戯曲を読み、自らの作為と無意識を往来しながら衣装制作の実技を行う授業です。
進め方については全年度共通で、初日は座学で、舞台衣装のなりたちや舞台芸術における役割や衣装製作に関わる各技術セクションのレクチャーを行います。

加えて、衣装づくりの素地となる「戯曲を読む」という行為を哲学的に考えます。

その上で、課題戯曲に纏わるリサーチを行い、物語や役について解読し、舞台空間の他の要素を含めながら衣装のイメージをふくらませます。

そして、4日間の衣装制作を経て、最終日には自ら制作した衣装を纏い、戯曲の一場面のパフォーマンス、およびプレゼンテーションを行います。

 

 

 

Q.今年度も「立体裁断」による制作方法を取り入れられたのでしょうか。

 

A.はい。この授業では衣装以外のセクションを希望する学生も受講するため、ミリ単位の技法ではなく、衣装・衣服構築の原理を体感的に理解する、つまり感性を養うことに重点を置いています。

トルソーに布を置き、重力に応じて素材を操作することで衣服のフォルムがダイレクトに感じられる立体裁断を採用しました。

 

 

Q.授業のテーマや目標など、簡単にお聞かせいただけますと幸いです。

 

A.いずれの年度においても、戯曲を読んで衣装を制作すること、作為と無意識を往来しながら自らを探求するということが主軸です。ここに付随する課題戯曲の内容により、必要とされる着眼点が違ってくることが授業設計の上でも興味深い部分かと思います。

 

 

Q.授業中の学生の様子や反応、印象に残ったことなどがあれば教えてください。

 

A.今年度のカフカの『変身』において大切にしたいと思ったのは、戯曲解読の際の「当事者視点」でした。

この作品はその特異性から様々な読まれ方がなされていますが、私にとっては自身の小学校時代の不登校経験を反映しているものです。

私自身が物語のいち当事者であり、その当事者を目の前にして、虫となる主人公を読み手がどのように自分に引き寄せるかということに着目しました。
話を聞いてみると、学生それぞれの経験や興味から様々な距離感が生じていたようです。

これは授業への身の置き方や、実技面では衣装デザインや発表の手法にもしっかりと反映されていました。
発表後の振り返りでは、英国ロイヤル・バレエが制作したダンス版の「THE METAMORPHOSIS」のDVDをサプライズ鑑賞しました。

セリフを用いず、身体で表される豊かな世界を驚きをもって受け止めていたようで嬉しかったです。
他には、自身の不登校経験や戯曲の私見を話したり、そこから広がり障がいを持つ人たちについても言葉を交わせたことも良かった点でした。
学生のそれぞれの道で、ここで過ごした経験が生かされるように、また、社会を作っていってくれるように願っています。

 

 

川口先生、ありがとうございました!!!

 

前回の「舞台デザイン特講・衣装」の様子はこちらの記事で紹介しています。

ご興味のある方は、ぜひ以下のリンクよりご覧いただけますと幸いです!

 

【夏期集中授業】衣装/舞台デザイン特講Iの様子をご紹介します!

 

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